推し楽
powered by 楽天ブックス
ログイン

TWICE・ツウィがソロデビュー作「abouTZU」で見せた、“内向的な末っ子”からの開花

2024年10月21日 18時00分

特集

TZUYU「abouTZU」

TZUYU「abouTZU」

2024年7月に海外女性アーティストとして初となる日産スタジアム公演を成功させたTWICE。一人一人がキャリアを重ねながら世界で多くのファンを魅了し続けるこのグループから、3人目のソロアーティストが誕生しました。

このたびミニアルバム「abouTZU」でソロデビューを果たしたのは、マンネ(末っ子)のTZUYU(ツウィ)。この作品でファンに新鮮な驚きを届けた彼女の新たな一面とは? ツウィの言葉とともに作品を読み解きます。

驚きと祝福を呼んだ“内向的な末っ子”のソロデビュー

9月6日、TWICE・TZUYU(ツウィ)の1stソロミニアルバム「abouTZU」がリリースされました。“about(~について)”と“TZUYU”をかけ合わせたタイトル、本人の「私の新たな側面を皆さんにお見せするいい機会になると思います」(*1)という言葉から、この作品の主題はツウィ自身であると言えるでしょう。

*1:TWICE’s Tzuyu Lights Up When She Talks 'AboutTZU' – UPROXX
https://uproxx.com/pop/twice-tzuyu-abouttzu-interview/

本稿では、「abouTZU」が持つメッセージを、彼女のパーソナリティーやこれまでの軌跡から考えていきます。

ツウィは、韓国発9人組ガールズグループ・TWICEのメンバーとして2015年10月に16歳でデビュー。その後、TWICEは大ヒット曲を世に送り出し続け、韓国国内で多数の音楽賞を獲得しているほか、先日最終公演を迎えたワールドツアー「TWICE 5TH WORLD TOUR ‘READY TO BE’」では全世界で150万人を動員するなど、デビューから約9年がたった今もその人気は衰えません。

デビューから7年後の2022年、9人全員が所属事務所との契約を更新。グループとしての活動継続が明らかになったとともに、同年、最年長メンバーのNAYEON(ナヨン)が、翌年にはリーダーのJIHYO(ジヒョ)がソロデビューを果たし、さらにはMINA(ミナ)・SANA(サナ)・MOMO(モモ)のユニット“MISAMO”も1stミニアルバム「Masterpiece」をリリース。

それぞれが新たな活動に乗り出し、世界中のファンが「次にソロデビューするのは誰?」と注目する中、2024年8月に「abouTZU」のリリース情報が解禁。グループ3人目のソリストがツウィであるというニュースに、SNS上では喜び、そして“驚き”の声が多数上がっていました。

筆者もツウィのソロデビューをうれしいサプライズとして受け取った一人ですが、こうした世間の反応は、彼女のパブリックイメージを物語っているように思います。TWICEの中では自他ともに認める物静かな性格で知られている彼女は、だからこそ時折発するコメントの威力が大きく、少しの言葉で他のメンバーたちを爆笑させたり、感動させたりするところが魅力です。

また、ジヒョがYouTubeコンテンツ「2WICE의 데이2 (2WICE’s DATE)」で「末っ子で、実家が韓国になくて遠いし、デビュー当時は社交的なタイプではなかったから 、そうやって孤独でつらい姿をよく見ていた。だからメンバーが特に気にかけていた気がする」「ツウィは心が柔らかくてよく泣くから、あなたがソロデビューのときは『ちゃんと見てくれるように』とスタッフに頼んだの」(筆者訳)と語っていたように、TWICEの最年少の海外メンバーであり、繊細でチャーミングなパーソナリティーの持ち主であることから、メンバーやファンにひときわ気にかけられている存在でもあります。

グループ活動を通じて築き上げられた、“内向的で周囲から守られるべき末っ子”としてのツウィのイメージがあるからこそ、ソリストとして自己表現したいというインディペンデントな彼女の欲求が、ファンに意外性と喜びを感じさせたのかもしれません。

リード曲「Run Away」で力強く示した彼女自身の変化

「abouTZU」には、“私の多様な側面を表現したい”というツウィの意志を表すように多彩なジャンルの楽曲が収録されており、さらにBTOBのメンバー・PENIELやラッパーのpH-1らフィーチャリングアーティストの参加が生んだ相乗効果によって、これまで見ることのなかった彼女の表情を読み取ることができます。

tzuyu_ph.jpg

リード曲「Run Away」は、80年代歌謡調のメロディーラインと中毒性のあるサビが印象的なディスコポップで、ツウィが尊敬する先輩として挙げる元Wonder Girlsのソンミによるソロワークをほうふつとさせる仕上がり。TWICEのデビュー当時からプロデューシングに携わってきたJ.Y. Parkによるリリックは、一見するとラブソングのようにも受け取れる内容です。

しかしツウィは、この曲に自身のソロデビューに至るまでの経験を重ねたそうで「とても怖くて、始まる前はいろいろな考えがありましたが、一度ソロが決まった瞬間に勇気を奮い立たせ、自信を持つことができたんです」(*2)と明かしています。

*2:Tzuyu of TWICE on her debut solo album: 'I wanted to showcase my bold side'- USA TODAY
https://www.usatoday.com/story/entertainment/music/2024/09/06/tzuyu-twice-kpop-solo-debut-music-interview-aboutzu/74800391007/

「決心するまでは苦しいよね / 決めたら私は変わる / No turning back 私のすべてを捧げるよ / 受け取る準備はできた?」と歌うステージ上のツウィは、表情の一つ一つやボーカル、ステージングを通して、みなぎる自信をカメラの向こうにも届けています。

ソロ作で見せる彼女の力強さはグループ活動のときとも異なるもので、新鮮な驚きを与えてくれます。しかしそれは、これまでグループを応援してきたファンを突き放すようなものではなく、むしろファンが祝福したくなるような力強さです。

その理由は、“グループの末っ子”というそれまでの“TWICE・ツウィ”としてのイメージから脱却するというよりも、近年ほのかに感じられていた彼女自身の変化が、“ソロアーティスト・ツウィ”の姿として昇華されているからなのでしょう。

「考えすぎ」と言われてきた過去を乗り越えて

2018年のインタビューでは「私は悩み事があっても、『まずは自分で解決しなきゃ』と思ってしまうタイプで……。自分からちゃんと話すことができれば、メンバーのみんなに心配かけることも減るんじゃないかなって」(*3)と口にしていたツウィ。

*3:TWICE ツウィ もっと成長して後輩のお手本に - NIKKEI STYLE
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36736910Q8A021C1000000/

その1年後、印象的な投稿をTWICEのInstagramにアップしました

そこでは多くの人に「考えすぎないように」と言葉をかけられるけれど、考えることをやめても自分の悩みはなくならないとしたうえで、自分は複雑な感情が生まれる理由を理解するために内省していると説明します。そして、「私のことはあまり心配しないで」と続け、同じような思いを持つファンに応援の言葉を送りました。

韓国語と中国語の2か国語でつづられたその文面は、悩みすらも簡単に言葉にしないことで、自分の内にある複雑な感情と向き合おうとする思慮深さを持つ彼女が、内なる思いをありのままに分かち合い、同じ悩みを持つ人々へ寄り添おうと一歩を踏み出した証なのかもしれません。

ナヨンはかつて「2WICE의 데이2 (2WICE’s DATE)」で、若くしてデビューし実家から離れて生活していた彼女を見ていたからこそ、メンバーにとっては今も子どものように感じられるとしたうえで、「私もついこのあいだまではそうだったけど、ツウィとたくさん話してて『本当に大人になったな』と。あなたにもあなたの考えや確かな信念があるから、もう不安じゃない」(筆者訳)と語っています。

そばで見守ってきたメンバーが、ツウィらしく静かに着実に遂げた成長に対して抱く実感に近いものが、今回、ソロデビューという選択を通じて世間にも共有され、作品として表現されたということ。それこそが、この「abouTZU」を意義深い作品にしていると感じます。

初の作詞曲「Fly」に込められた美しい志

tzuyu_1. Online Cover.jpg

最後に、本作にはツウィが初めて作詞を手がけた「Fly」が収録されているということにも触れなければなりません。自身を蝶に見立て「I'm a believer fly into the blue blue sky / Fly, fly little butterfly」「I'm a believer雲を泳ぐの / 遥か遠くあの宇宙の果てまでも」と歌うフレーズからは、彼女が一人のアーティストとして自分の可能性を信じて抱く、限りない希望が伝わってきます。

さなぎの中で密かに遂げられていた成長は、蝶の姿となって力強く飛び立ちました。その華やかさで外界を魅了する蝶は、そのまま今のツウィにも重なるようです。初作詞曲に表れた美しい志に頼もしさを感じながら、今後も彼女が一歩ずつ確かに前進していくであろう旅路の行方が楽しみでなりません。

文:菅原史稀

©JYP Entertainment

TZUYU「abouTZU」

202496日発売

 

01. Run Away

02. Heartbreak In Heaven (feat. PENIEL)

03. Lazy Baby / TZUYU, pH-1

04. Losing Sleep

05. One Love

06. Fly

©JYP Entertainment

TZUYU「abouTZU」

TZUYU「abouTZU」

TZUYU(ツウィ)

1999年生まれ、韓国発9人組ガールズグループTWICEのメンバーとして2015年10月に16歳でデビュー。その後、TWICEは大ヒット曲を世に送り出し続け、韓国国内で多数の音楽賞を獲得。2024年9月、1stミニアルバム「abouTZU」でソロデビューを果たした。

TWICE OFFICIAL SITE
TZUYU(ツウィ)
【輸入盤】1STミニ・アルバム:アバウツ
CD

【輸入盤】1STミニ・アルバム:アバウツ

3,187
楽天ブックス
楽天ブックスで見る
【輸入盤】1STミニ・アルバム:アバウツ(ヘヴン・ヴァージョン)
CD

【輸入盤】1STミニ・アルバム:アバウツ(ヘヴン・ヴァージョン)

3,280
楽天ブックス
楽天ブックスで見る
【輸入盤】1STミニ・アルバム:アバウツ(デジパック・ヴァージョン)
CD

【輸入盤】1STミニ・アルバム:アバウツ(デジパック・ヴァージョン)

2,384
楽天ブックス
楽天ブックスで見る

関連するタグ

この記事の画像

  • TZUYU「abouTZU」
  • TZUYU「abouTZU」
  • TWICE・ツウィがソロデビュー作「abouTZU」で見せた、“内向的な末っ子”からの開花の画像3

みんなの心の声

21

この記事はいかがでしたか?
1記事10回までリアクションできます

あなたの想いをシェアしよう

関連記事

特集・インタビュー

おすすめの推しタグ#

おすすめの推しタグ#
「推しタグ#」をフォローして
メニューをカスタマイズ!

フォローした推しタグ#はページ上部に追加されます。「マイページ」から並び替え・削除が可能です。

推しタグ#をもっと見る

記事アクセスランキング

みんなの心の声ランキング

推し楽の公式SNSをフォロー
タイムリーに最新情報をゲット!!