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多彩な演じ分けが魅力の“憑依型声優” 松岡禎丞の代表作を振り返り

2024年09月30日 19時10分

特集

今回は9月17日生まれの松岡禎丞さんをご紹介!

その月に誕生日を迎えた声優さんをクローズアップして紹介するこの企画。9月はイノセントな声質と演技で、多感な思春期の青少年の演技が高い評価を受けている松岡禎丞さんを紹介します。王道の主人公ボイスだけでなく、クセの強い悪役や動物キャラまで演じ分ける人気と実力を兼ね備えた声優です。

繊細な感情が透けて見える演技で頭角を現し
「ソードアート・オンライン」の主役に抜擢!

2009年、「東のエデン」のAKX20000役でデビューした松岡さん。飛躍のきっかけとなったのはデビューから約2年後、初の主演作である「神様のメモ帳」です。松岡さん演じる主人公・藤島鳴海はナチュラルでどこか初々しさを感じさせる等身大の男子高校生。その演技が高く評価され、2011年度の第6回声優アワードで見事に新人男優賞を受賞。その後、次第にメインキャラクターとしての出演が増えていきました。

そんな松岡さんの次なる転機は、受賞の翌年2012年に訪れます。後に松岡さんの代表作となるアニメ「ソードアート・オンライン」(以下:SAO)の主人公・キリト役への抜てきです。「SAO」は、仮想空間内で行われる命を懸けたアクションゲームを描いたファンタジー作品。松岡さん演じるキリトは、情に熱く勇敢ないわゆる“正統派主人公”。今やシリーズ4まで続く大人気作品となったのは、優しくも情熱的なキリトの魅力も大きいはず。この作品を機に、声優としての松岡さんの知名度は加速度的に高まっていったのです。

タイプの異なる主人公を演じ分け
2015年度の声優アワードで主演男優賞を受賞

「SAO」にてキリトを演じた後から、松岡さんの快進撃がスタートします。同じく2012年には「さくら荘のペットな彼女」で主人公・神田空太役を演じ、彼の周りで巻き起こるドタバタを描いたコメディー作品で、松岡さんの新たな魅力を世に知らしめました。特に“悲鳴”とも“奇声”ともとれる独特なイントネーションの叫び声は、「どこから声を出しているのかわからない」とアニメファンの間で話題になり、のちに「SE(効果音)松岡」と呼ばれて大きなインパクトを残しました。

その後も2014年には「ノーゲーム・ノーライフ」でゲームの天才である空(そら)、続く2015年は「冴えない彼女の育てかた」で情熱的なオタクの安芸倫也、「食戟のソーマ」ではひょうひょうとした性格の幸平創真、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」(以下:ダンまち)では心優しい冒険者・ベル・クラネルと、実にさまざまなタイプの主人公を見事に演じ分けています。そのどれもが“ハマり役”と評される熱演ぶりで、2015年度の第10回声優アワード主演男優賞に輝きました。 

繊細さと純粋さが裏返った狂気を怪演
エキセントリックな悪役演技でさらなる評価も

松岡さんの魅力はこうした“主人公ボイス”に限らず、その対極にある“悪役キャラ”の演技でも発揮されています。2012年のアニメ「ハイスクールD×D」では、主人公の敵となるフリード・セルゼン役に抜てきされ、その卑劣で残忍な性格を見事に演じ上げました。「SAO」でブレイクする前の作品ですが、当時から敵キャラクターの演技でも高いポテンシャルを発揮しています。

また、2015年のアニメ「落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)」で桐原静矢役を演じた際には、姑息な手段で主人公を追い詰めて挑発する一方、自分が劣勢になった途端に半泣きで許しを請う噛ませ犬ぶりが一躍話題となります。その腹立たしくもどこか憎めない桐原のキャラクター性が、松岡さんの演技でより際立っていたのです。

そして悪役を演じる松岡さんを語る上で欠かせない作品なのが、2016年のアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」(以下:リゼロ)です。この作品で演じたペテルギウス・ロマネコンティという敵役がアニメファンの間で大きな話題となり、松岡さんが演じた全キャラクターを通しても今なお高い人気を誇っています。

ペテルギウスは、おかっぱ頭に頬は痩せこけ、ギョロリと見開いた目をした不気味なビジュアルで、これまで松岡さんが担当したどのキャラクターとも異なることがわかります。加えて、紳士的に話していた次の瞬間けたたましく笑い出したり、叫び声を上げて攻撃してきたかと思えば急にスンと落ち着いたり、目まぐるしく変化する言動もペテルギウスを魅力的たらしめているポイントです。この喜怒哀楽の巧みな操作も、松岡さんにしかできない芸当でしょう。あらゆるタイプの役を演じてきたからこそできる“憑依型声優”としての真髄が、このキャラクターには詰まっています。

国民的アニメ「鬼滅の刃」への出演!
アニメ界にとって欠かせない声優に——

主人公から悪役まで、あらゆる役柄を演じ分けてきた松岡さん。声優としてのキャリアを着実に積んでいき、デビューから約10年が経過した2019年、歴史的大ヒットを記録したアニメ「鬼滅の刃」で主人公と行動を共にするチームメイトの一人・嘴平伊之助を演じました。常に上半身裸なうえに猪の頭部を被り、「猪突猛進!!」と叫びながら無造作に刀を振り回す野生児で、松岡さん史上最も野蛮なキャラクターといっても過言ではありません。常にドスの効いたトーンを維持しながら乱暴に声を荒げるという演技をもって、伊之助の性質を的確に表現しています。

これまでものどを酷使するような役どころは多かったものの、ここまで身を削りながら演技している役はなかなかお目にかかれません。また、猪の頭部を外した伊之助の素顔は、少女と見まがうほどの美男子。端正な顔立ちの伊之助から発せられる松岡さんの野太い声は、見た目とのギャップがありつつも、なぜか違和感なく耳に入ってきます。数々の主人公を演じてきたからこそ、野太さの中にもいたいけな少年の面影を残した演技ができるのだと思います。

さらには、2019年に「五等分の花嫁」で主人公・上杉風太郎、2021年に「呪術廻戦」で京都高専の呪術師・究極(アルティメット)メカ丸、「東京リベンジャーズ」では頼れる兄貴分の三ツ谷隆、2022年に「ブルーロック」で主人公のチームメイト・雷市陣吾、「BLEACH 千年血戦篇」で不気味な敵キャラのエス・ノト、2023年に「ちいかわ」でラーメンの鎧さん、2024年に「劇場版名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」でゲストキャラクターの福城聖を演じました。出演作のラインナップの豪華さは声優界でもトップレベル。現在も人気作への出演が続いており、アニメ界に欠かせない存在です。

愛され系からクセの強いマスコットキャラまで演じる
マルチプレイヤー的な才能も開花

多彩なキャラクターを演じる松岡さんの魅力をお伝えしてきましたが、“人間以外”のキャラクターも変幻自在に演じています。

2015年のアニメ「ミカグラ学園組曲」では、不思議な能力を持った生徒たちが通うミカグラ学園のビミィという講師役で出演。羽の生えた猫のような外見のマスコット的キャラクターで、語尾に「りゅい!」をつけながら話すかわいらしい声が魅力です。

翌2016年のアニメ「斉木楠雄のΨ難」ではアンプという名の猫役で出演。アンプは人間に甘やかされたせいで人間を猫よりも下の種族だと見下しており、その生意気さが松岡さんのマスコットボイスにより倍増しています。

近年では、2023年のアニメ「豚のレバーは加熱しろ」で、ごく普通の大学生が転生した豚役を、2024年のアニメ「夜桜さんちの大作戦」では主人公一家の愛犬・ゴリアテ役を担当。ゴリアテは犬としての鳴き声しか発していないのですが、見事に感情が表現されていて、松岡さんの演技に驚かされます。ちなみにこの作品では、ゴリアテのほかに一家の三男・夜桜嫌五も演じており、二役での出演。人間と動物、2キャラの演じ分けにも注目してみてください。

活躍の舞台はアニメのみならず!
ゲームや特撮でも輝く魅力

松岡さんの活躍する舞台はアニメ作品だけにとどまりません。そのひとつがゲームです。人気コンテンツ「アイドルマスター」シリーズで松岡さんが演じるのは、2011年発売「THE IDOLM@STER 2」で初登場した御手洗翔太です。その天真らんまんで思わず世話を焼きたくなってしまうような弟キャラのとりこになったプロデューサー(ゲーム内におけるプレイヤーの分身)も多いはず。後のシリーズ「アイドルマスター SideM」も含め多くの楽曲で歌唱参加しており、ポップでキュートな歌声を存分に堪能することができます。

また、先にご紹介したアニメ「ダンまち」を元にしたゲームアプリ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~」に主人公・ベル役として出演すると、「一人の声優によりモバイルゲームに提供された台詞の最多数」(10,175ワード)で、2019年にギネス世界記録に認定されるという快挙を達成しています。

さらに、2022年には「仮面ライダーギーツ」で最大の敵・スエルの声を担当し、特撮番組への初出演を果たします。また、変身アイテムであるヴィジョンドライバー、レーザーレイズライザーのシステムボイスも兼任。初挑戦ながら非常に重要な役どころを演じています。

正統派主人公から狂気的な悪役、脇を固めるサブキャラからかわいらしい動物まで、まるで憑依するかのように演じ続けてきた松岡さん。その能力は、きっとどのキャラクターとも全力で向き合ってきたからこそ得られたもの。今後も多種多様な役柄を演じ、キャラクターの魅力を120%引き出し続けていくであろう活躍に目が離せません。

 

文:繁田慎一(t-press)

松岡禎丞(Yoshitsugu Matsuoka)

9月17日生まれ。北海道出身。2009年にテレビアニメ「東のエデン」AKX20000役で声優デビューを果たすと、「ソードアート・オンライン」シリーズのキリト役、「鬼滅の刃」シリーズの嘴平伊之助役を務めるなど人気作品に多数出演。2025年には神奈川・パシフィコ横浜にて開催されるTVアニメ「東京リベンジャーズ」のイメージソングライブ「友情羅威舞(ダチライブ)」へ、三ツ谷隆役として出演も控えている。

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