華のあるハイトーンが魅力！　実力派声優・蒼井翔太の代表作を振り返り

その月に誕生日を迎えた声優さんをクローズアップして紹介するこの企画。8月は、魅惑のハイトーンボイスで幅広い層に人気を博す、声優＆アーティストとして活躍中の蒼井翔太さんをご紹介します。美少年からクールな男性、さらには女性役までこなす演技に加え、華と実力を兼ね備えた実力派声優です！

甘い声質でクセになる人続出！新人の枠を超えていたデビュー作

2024年の春クールアニメでは、蒼井翔太さんが主役を担当している「出来損ないと呼ばれた元英雄は、実家から追放されたので好き勝手に生きることにした」（通称：できそこ）が放送されていました。蒼井さんが担当する主役のアレンは、特有のくすぐったくなるような甘い声質でありながら、たくましさや雄々しさを感じる、熟練された演技力が堪能できる魅力的なキャラです。"熟練"と表現しましたが、蒼井さんのお芝居は、声優デビューの時点ですでに新人の枠から飛び出ていました。

蒼井さんは2011年にゲーム「Black Robinia」の鑑識役で声優としてデビューすると、その年のうちに「君と僕。」の松下隆之介役で初の地上波アニメ出演も果たします。

このアニメデビューとなった「君と僕。」は、「月刊Gファンタジー」に連載されていた少年少女たちの友情や青春物語を、ゆるやかなコメディータッチで、どこかリリカルに描いた作品。そのかわいらしくもほほ笑ましいキャラクターや描写は、多くのファンを獲得する結果となりました。先輩を慕う漫研男子の松下隆之介を演じた蒼井さんの声と演技が、アニメファンの中で注目されることとなったのです。

抜てきからの躍進—— 三大"乙女アニメ"への出演で人気声優に

2012年には乙女ゲームの大人気作「うたの☆プリンスさまっ♪」（通称：うた☆プリ）のシリーズ2作目、「うたの☆プリンスさまっ♪ Debut」で美風藍を演じ、2013年のアニメ版「うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000％」でも美風藍をそのまま担当。ちなみにこの「うた☆プリ」には、第1作目のときに司会者役として出演していました。

さらにその翌年2014年には「少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR 49-」で、5人組の主役キャラクターの1人である富井大樹役に抜てき。キャリアと実績のある実力派声優たちに囲まれながらも存在感を示すなど大躍進。その後も順調にキャリアを重ね、2016年にアニメ化された「ツキウタ。」シリーズでは水無月涙役とその兄である水無月怜役の二役を演じます。同年には今や定番となった映画館での"応援上映"を確立させた劇場アニメ「KING OF PRISM by PrettyRhythm」（通称：キンプリ）での如月ルヰ役を担当しました。

この「うた☆プリ」「ツキウタ。」「キンプリ」という、2010年代に数多くの女性ファンを虜にした人気3作品に出演したことは、蒼井さんが乙女たちの心をつかんでやまない実力派声優である証でしょう。

女性人気だけにとどまらない、実写パート出演における高ポテンシャル

そして現在、蒼井さんは男性ファンの間でも注目を集めています。きっかけの一つとなったのは、2018年にアニメ化した「3D彼女リアルガール」で演じたのは伊東悠人というキャラクター。ネコ耳をつけた、主人公のオタク仲間ポジションです。かわいらしいビジュアルに加え、ぴったりの声質の蒼井さんが担当したことで、人気にブーストがかかったことは紛れもない事実でしょう。

男女を問わずアニメファンに認知度が高まったタイミングで放映されたのが、アニメ界の衝撃作である「ポプテピピック」（'18年）。なんと本人が実写で登場するというサプライズがあり、ご自身のキャラクターや魅力が広く知れ渡ることとなりました。なお、実写での登場は2020年の「ギャルと恐竜」でも行われました。

コメディー演技も抜群！引き出しの多さも蒼井さんの魅力

では、蒼井さんの演じるキャラクターで評価が高いのが、ビジュアルに優れた男性キャラクターに限定されるかといえば、決してそうではありません。

2020年にはアニメ「とーとつにエジプト神」でのウェネト役、2021年にはショートトリップアニメ「キンタマーニドッグ」で主人公のキンタ役、2022年には「お昼のショッカーさん」でのイカデビル役と、エジプトの神様、キモカワな犬、ショッカー怪人の幹部というトリッキーな役柄を、癒やし声、ヒネた声、野太い声で演じ分け、その引き出しの多さを見せてくれます。

そして同じく2022年には、あの国民的アニメの公式スピンオフ作品である「名探偵コナン犯人の犯沢さん」の犯沢さん役で、声と技術の引き出しを総動員したかのような抜群のコメディー演技を見せてくれるのです。

"枠"にとらわれない表現力

ただでさえ多様な蒼井さんの芝居の幅をさらに広げているのが、独特のハイトーンボイスを活かした女性役での出演歴。2015年の「北斗の拳イチゴ味」では主人公のケンシロウと共に旅をする少女、リン役を担当。コメディー色の強い作品の中でも、力強いツッコミの場面はもちろん、蒼井さんの少女としても違和感のない演技に、それまで蒼井さんのことを知らなかった「北斗の拳」ファンのド肝を抜きました。また、2017年の「戦姫絶唱シンフォギアAXZ」ではセクシーなキャラクター・カリオストロを演じています。

さらに蒼井さんの活躍は実写作品にまで及びます。2019年に第1期が放送されたドラマ「REAL⇔FAKE」では朱音役で出演。役柄は"失踪した謎の歌姫"で、実写作品で"歌姫"を演じ、歌唱も担当していました。

この「REAL⇔FAKE」では、シリーズを通してエンディングテーマを「蒼井翔太」名義、オープニングテーマを「Stellar CROWNS with 朱音」名義で歌っています。