2025年01月31日 10時38分
レポート
2025年01月31日 10時38分
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囲み取材ではお馴染みのポーズを披露!(左から)貴城けい、佐野晶哉、波岡一喜
A ぇ! group・佐野晶哉が主演する音楽朗読劇「ひまわりの歌~ヘブンズ・レコードからの景色~」の東京公演が1月30日に開幕しました。本作は阪神淡路大震災から5年後、2000年夏の神戸を舞台にした4つのストーリーのオムニバスです。劇団ミュを主宰する岡本貴也のオリジナル作品で、2018年、2019年と上演された「ヘブンズ・レコード」のタイトルを改め、脚本の一部を刷新。震災から30年の節目に、風化していく記憶を今一度呼び起こし、まだ生まれてなかった世代へもメッセージを発信しようという本作は、神戸公演が先だって1月17日~26日に行われました。今回は東京公演初日の1月30日に行われたフォトコールと囲み取材の模様をお届けします。
ステージのスクリーンに「被災地で起きた事実を元にしたフィクションです」との但し書きから、復興工事の映像が流れます。そこへギターを抱えたサロペット姿のタケル(佐野)が登場。「どうか聞いていってください。僕の作った曲、めっちゃ気に入ってまして。歌いますよ」とストリートライブを始めました。
ストロークの弾き語りで、伸びやかな歌声を響かせて披露したのは、神戸の人を元気づけるオリジナルソング。足を止める聴衆は少ないようですが、タケルはさわやかな笑顔を見せます。「じゃあ、もう1曲」と切り出したところで、「おい、タケル。通行の邪魔だ」と現れたのは、移動式の中古レコードショップ「ヘブンズ・レコード」の店長(波岡一喜)。タケルはこの店のバイトで「早く車を運転しろ。仕事行くぞ」とせっつかれ、青空市の場所へ。生演奏のピアノが入り、ここから朗読劇に移りました。
カーラジオから流れるのは、店長がいつも聴いているアナウンサー・葛西花(貴城けい)の番組。「明石市内の仮設住宅が本日付けですべて解消されました」とのニュースが明るい声で告げられます。
看板に「あなたのためのレコード、あります」と書かれたこのレコードショップ。「うちの娘がお祝いにクラッシックをかけたいと言うもので」という客の鼻歌から、音楽にやたら詳しい店長はそれがモーツァルトの「レクイエム ニ短調」と言い当てました。お祝いに葬送曲……?
客が阪神淡路大震災当日の回想から、妻と娘と共に家族に起こった出来事を紡いでいきます。赤ん坊のいたベビーベッドは倒れた梁の下敷きになっていて……。緊迫感と心の傷が伝わる朗読。そんな1話では、波岡は彫刻家、貴城は客の家の前に置かれたお地蔵さんを訪ねる女性も演じ、最後は店長が1枚のレコードをプレゼントとして差し出します。倒壊した建物や瓦礫の山、避難所などの映像も挿入される中、ピアノの音色に彩られ、切なくも前向きな物語になっていました。
フォトコール後には佐野、波岡、貴城による取材会を実施。まず、震災からちょうど30年に当たる1月17日に始まった神戸公演を振り返り、佐野が「(地震が発生した)5時46分にキャスト全員で黙とうに行ってからの本番スタートでした。たくさんの地元の人たちの想いを受け止めながら走り抜けてきたので、また東京で覚悟を持ってやりたいなと改めて感じています」と語りました。
佐野も神戸出身ですが、震災が起きたのは生まれる7年前。自身の歌から幕を開けた初日について、「あの日から30年経ったんだと噛み締めて涙を流す方もいらっしゃいました。僕と同じように、震災は経験されてないけどこの舞台を通じて知ろうとしてくれる方の表情も目にしました」とも。
貴城は当時、神戸が拠点の宝塚歌劇団に在団。「劇団の前に阪急電鉄が横たわっていたり、大変なことが起きているんだと思いました。お稽古に行こうとしたら、家とかも倒壊していて、本当にショックを受けて帰ったのを覚えています」と話します。波岡は大阪の高校1年生で、「マンションを壊しているのかと思ったくらい強く揺れて、タンスが倒れたりテレビが飛んで来たり」と衝撃を伝えます。「神戸に転校した中学の同級生が亡くなったと聞いたり、神戸から転校してくる子もいました。初日に黙とうへ行った東遊園地で、遺族の方が集まっていらっしゃるのを見て、忘れてはいけないなと想いを強くしました」と力を込めました。
音大を卒業して相対音感を持つ佐野の歌については、波岡が「素晴らしいです!」と絶賛。さらに「人柄も歌も笑顔も素晴らしい! 肌もツヤツヤ、歯もピカピカ!」と続けます。エピソードとしては「神戸のゲネプロが終わったあとのあいさつが素晴らしすぎて、ボロボロ泣きました」とのこと。
何を話したかは佐野自身も「覚えてないです(笑)」と言いつつ、「朝から黙とうに行って、被災された方たちとたくさんお話しさせてもらって……という始まりで、心の中にあるものを話させてもらいました」と一端をうかがわせました。
波岡はさらに「主演で自ら、みんなにあいさつして回るんです。その姿は息子みたいでした」と佐野を照れさせます。貴城も佐野の歌に「公演を重ねるごとに磨きがかかっています。最後に全員が出てきてタケルを見るシーンでは、鳥肌が立って涙が出そうなくらい感動しました」と最大級の賛辞を送りました。
他には加藤虎ノ介、宮地真緒、羽野晶紀らが出演。貴城と子役の2人以外は全員関西出身で、稽古から現場は「バリバリ関西のノリ」(波岡)だとか。佐野は「東京の現場でも関西弁が聞こえてくると安心しますし、距離が縮まるスピードが速い気がします。今回は初日からすごく楽しい現場で最高のチームワーク」とうれしそうでした。そして、「『Aぇ! teamです』と、3人そろってAぇ!groupでお馴染みの逆さピースのポーズを決めるひと幕も。
最後に佐野からメッセージが送られました。「僕自身、地元で22年間暮らしてきましたけど、30年前の大震災のことを正直まったく知りませんでした。この舞台をきっかけに親と話したら、苦しい思いをしていて。身近で人も亡くなり、結婚生活を始めるちょっと前に契約していたマンションが全壊。そこに住んでいたら命がなかったかもと、マンションを探し直したと。すごく衝撃的で、絶対知らなあかんことやと思います」。さらに「お客さんでも、僕と同世代や学生服で観に来てくれる人もたくさんいて。そういう人たちが家に帰ってから、お母さんやお父さんと話すきっかけになったら」と続けます。
「神戸で初日が終わったあとに見た神戸の街の姿は、今まで見た神戸とはまったく違って見えました。この舞台に向き合いながら、僕ら自身も30年前の大震災に向き合ったのはいい経験。神戸から離れた東京でも、あのときのことを伝えられるのは光栄です。いろいろな人に届いて、この舞台が何かの架け橋になったらいいなと思いながら、全力で演じさせていただきます」。佐野の言葉からは真っすぐな意気込みが伝わってきました。
取材・文:斉藤貴志
撮影:古賀良郎
会場 兵庫県 神戸朝日ホール
2025年1月17日(金)~1月26日(日)
※1月22日(水)は除く
会場 東京都 有楽町朝日ホール
2025年1月30日(木)~2月8日(土)
※2月5日(水)は除く
スタッフ
作・演出:岡本貴也
出演
佐野晶哉(Aぇ! group) / 貴城けい / 加藤虎ノ介 / 宮地真緒 / 納谷健 / 井尻晏菜 / 島村龍乃介 / 栗崎菜緒(Wキャスト) / 大北怜花(Wキャスト) / 羽野晶紀 / 波岡一喜
※栗崎菜緒の「崎」は、たつさき
ピアニスト
溝渕奏
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