2025年03月08日 00時00分
特集
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声優に歌手とマルチに活躍する梅原裕一郎さん
梅原さんが演じた魅力的なキャラクターは、アイドル的な男性キャラだけではありません。
2015年の「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」では、植民地として地球からの搾取にあえぐ火星で、寄る辺のない少年たちが主体となって結成した組織「鉄華団」の副団長であるユージン・セブンスタークを担当。団の方針を巡って団長のオルガ・イツカに対して意見をすることも多いユージンですが、敵襲から逃れるために交戦中に自らの身を危険にさらすような任務を実行しようとするオルガを「大将っつうのはでっかく構えとくもんだろうが」と制し、「俺にも仕事させろ!」と代わりを買って出る気骨に富むキャラクターを熱演しています。
副団長としては頼りないところも見られたユージンでしたが、第19話では鉄華団の命運を賭けた奇襲作戦を任され「鉄華団全員の命を預かる…。俺、そーいう存在に憧れていたからよ……」と、普段は見せない胸の内を同じ古参組のノルバ・シノに明かしています。オルガにことさら突っかかりを見せるのも、リーダーに必要な才能も胆力も備えた彼に対する、嫉妬すると同時に憧れてもいる複雑な心中があってこその態度だったのでしょう。
第2期の第31話では、地球にいる鉄華団の仲間たちを心配するあまり、落ち着きがない団員たちを前に「あれこれネチネチ考える暇があったらきっちり寝とけ! 見えない明日で今日をすり減らすんじゃねえ! たとえ、明日が地獄でも! そんときゃてめぇらの力でしぶとく生き延びようぜ! それが鉄華団だ!」と鼓舞し、まだぎこちなさを残しながらも団をまとめる兄貴分として成長したセリフもぜひ注目してほしいポイントです。
また、2018年に第1期がテレビで放送された「ゴブリンスレイヤー」は、梅原さんが主役の“ゴブリンスレイヤー”を演じた作品です。ゴブリンスレイヤーは下級の魔物であるゴブリンの群れに故郷の村を滅ぼされ、復讐のためにゴブリンだけを専門に狩り続ける風変わりな冒険者。ゴブリン退治は低額な報酬しか得られないにもかかわらず、身の危険やかかる費用などを度外視して、ただ粛々とゴブリンだけを狩り続けていきます。そんなゴブリンスレイヤーは過去のトラウマがあるためか、発する言葉は「ああ」や「そうか」といった無機質な単語レベルのものばかり。もともと魅力的な低音ボイスの持ち主である梅原さんによる、地声よりもさらに低く抑えられた渋味と陰のある生い立ちを表現する演技は必聴モノです!
孤独なゴブリン狩りを続けていたゴブリンスレイヤーですが、徐々に他の冒険者たちと関わるようになった1期の10話では共に食卓を囲む場面が描かれています。食事を共にするだけでも大きな変化ですが、彼の身を案じた周囲から「次に倒れたときは冒険禁止」と言われ「それは困るな」と本気で答えてしまうやりとりは、コミカルなやりとりの中にも他人の意見を受け入れる内面の変化が、“困惑”という感情が込められたセリフによってあらわになっています。物語の冒頭では完全な無感情であったゴブリンスレイヤーが、言葉にわずかずつ感情をにじみ出してくる梅原さんの細やかな演技に感嘆してしまいます。
最後に紹介するのは、はるか遠い未来、宇宙を二分する勢力のもとにそれぞれ登場する「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと、「不敗の魔術師」と呼ばれるヤン・ウェンリーの二人の天才が主人公の「銀河英雄伝説 Die Neue These」(ノイエ銀英伝)です。本作で梅原さんは、軍人ラインハルト・フォン・ローエングラム(旧姓ミューゼル)の幼なじみであり、互いに「半身」とも言える唯一無二の親友であるジークフリード・キルヒアイスを担当。人心を得る稀有な能力と、一方で苛烈さを持ち合わせるラインハルトに対し、温厚な人格者で部下や同僚はもちろん敵将にも好感を与えるキルヒアイスという人物を、梅原さんは柔らかく、優しく、包み込むような声と演技で表現しています。
キルヒアイスはラインハルトに忠誠を誓っていますが、といってもただ命令に従うだけの関係ではありません。ラインハルトの鋭すぎる面を補ったり、彼が道を誤りそうになれば忠告をすることも厭わないのが彼の忠誠心の表れなのです。
そんなキルヒアイスが劇中で発する言葉の中で、注目してほしいのは「ラインハルト様」というセリフです。「宇宙を手に入れる」と誓ったラインハルトを支える決意を込めたとき、不興を買うことを覚悟してラインハルトの翻意を促すとき、身をていして守ったラインハルトの無事を確認したとき……、さまざまな場面で聞かれる「ラインハルト様」というセリフですが、ときにこの一言だけで泣けてしまうのは梅原さんの演技あってこそと言えるでしょう。
キラキラなアイドルから陰のあるキャラクターまで、多彩な演技の幅と音楽的な才能でキャラクターの魅力を高める梅原さん。他にもまだまだ魅力的な作品に出演していますが、まずは今回ご紹介した作品からチェックしてみてはいかがでしょう。
文:福嶋哲平(t-press)
3月8日生まれ。静岡県出身。2014年にテレビアニメデビューを果たすと、2015年には「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のユージン・セブンスターク役や「美男高校地球防衛部LOVE!」の由布院煙役で注目を集め、「ヤングブラック・ジャック」の間黒男役で初主演を果たす。2025年4月からは主役の紫雲寺新を演じるテレビアニメ「紫雲寺家の子供たち」が放送予定。2020年に結成した「Sir Vanity」ではボーカル&ギターを担当し、2025年1月22日に2ndミニアルバム「Latitude」をリリース。音楽的な才能を活かしたアーティスト活動も行っている。
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