鞘師里保が得た「お芝居で思い切る心」俳優、アーティストとしてつかんだ手応え

その人のお仕事のこだわりを見られるとうれしい

――鞘師さん自身はシーズン2のどんな部分を楽しみにしていますか？

「まだめんつゆでこんなものが作れるのか!?」というのを披露できるのも楽しみですし、シーズン1は作中の季節が春・夏で、今回は秋・冬になっているので、違う季節感を感じられるのも楽しいと思います。見てくださる方と同じように、露たちの時間も進んでいるんだなって感じてもらえるのも面白いかなと。放送時期に合わせた季節イベントもいろいろ出てくるので、より身近に感じてもらいたいですね。

――会話劇である今回の作品にちなんで、鞘師さん自身の“会話”についてお伺いしたいのですが、普段お仕事の現場ではどんな会話をすることが多いですか？

ドラマの現場ですと、撮影中は一緒にいる時間が長いので、一日撮影が空いたら「昨日は休めましたか？」とお互いをねぎらい合ったりしていますね。私自身、スタッフの方や共演者の方とお話するのが好きなんです。会話量は多いタイプではないかもしれないですが、いつも皆さんとの時間を楽しんでいます。職業柄、どこのお仕事の現場に行っても、まったく同じ人たちとお仕事することはないので、毎回新しい方に出会えるし、久しぶりに会えた方とは今までの話題をキャッチアップするのが楽しみになっています。

――鞘師さん自身、人と会話するときに意識していることや自然と出てしまう癖などありますか？

その人のお仕事のこだわりみたいなものが見られるとうれしいので、そういう質問をさせていただくことが多いかもしれないです。共演者の方々のお話を聞くと、学校に通って勉強している方やお芝居に役立つと思って楽器を練習している方など、いろんなことに取り組んでいる方がいらっしゃって。スタッフさんには「普段はこういう作品を作っています」と写真を見せてもらったりもしますね。あと、現場によって照明スタッフの方の影の作り方に対するこだわりが違うのも面白くて。ここ数年でお芝居の現場が増えていることもあって、自分自身も作品ごとの違いが見えるようになってきたんだと思います。

「今の鞘師が最高」という言葉で、活動の意味が見出せた

――7月24日には1stフルアルバム「Symbolized」をリリースされて、イベントなどでファンの方と会話する機会もあったと思いますが、印象に残っているエピソードなどありますか？

私のファンは空気感が似ている方が集まることが多いんですよ。この間、今回のアルバムを一緒に作ってくれたディレクターさんとの対談を皆さんに聞いていただくトークイベントを開催したんです。そのときに「聞きたいことありますか？手を挙げてください！」って言ったら、みんなすごく含みのある表情をしていて。言いたいことがあるはずなのに誰も手を挙げないっていう（笑）。「恥ずかしいよね～？」っていう空気が流れていて、そこがすごく私に似ているなと感じたし、「あっ、私のファンの方だな」と思いました。

――先ほどご自身のことを「普段ちょっと控えめなところがある」とおっしゃっていましたもんね（笑）。

あと、フリーライブイベントは会場がショッピングモールだったので、いつもイベントに来てくれる方だけでなく、なかなか足を運ぶ機会がなかった方にも来ていただけたのが印象的でした。私がグループを卒業したのは約9年前になるんですけど、「9年ぶりに会いにきました！」「〇〇のころから応援しています！」と言ってくださる方もとても多くて。まだ私のことを気にしてイベントに足を運んでくれたのはうれしかったです。

――今回ファンの方からいただいた言葉で、一番印象に残っているのはどんな言葉でしたか？

イベントでCDを買ってくれた方とは一人一人お話できる機会があって、皆さんそれぞれアルバムの感想を持ってきてくださったんですが、そこで「今の鞘師が最高だね！」って言ってくれたのがすごく心に残っています。モーニング娘。時代も含めて「今が最高だ」って言ってもらえたのは、ここ数年の自分の活動の意味を見いだせたというか。もちろん今までの活動ありきなんですが、私が音楽活動をやってきたこの3年間で作った楽曲もちゃんと届いているんだと感じました。私が一人で歌うための手段だけではなく、ちゃんと今の私を形成しているものとして楽曲を見てくれているのはとてもうれしかったですね。「今を生きてる！」という実感と喜びを感じられました。

――今回のアルバムで、鞘師さんの「推し曲」はどの曲ですか？どれも思い入れがあって選ぶのが難しいかもしれませんが……。

それぞれ「推し曲」を見つけてほしいと思って幅広いジャンルをそろえたので、私も決めるのが難しいんですけど、1曲挙げるとしたら「paradise」ですかね。これはアルバムの中で最後に作った曲で、私が初めて作曲をさせてもらったこともあって思い入れのある曲です。今まではダンスが踊れる曲を中心に考えてきたので、一発で映像が思い浮かぶような曲を作ってきたんです。でもそうじゃなくて、「踊れるんだけど……」みたいな線を狙った曲になったので、自分でも新しいなって思っています。

――ソロアーティストとしても、役者としてもどんどん活躍の場を広げていらっしゃいますが、鞘師さんはどうやって2つの活動のバランスを取っていますか？

バランスの取り方や気持ちの切り替え方はまだまだ模索中なんですけど、「行き来できている自由さ」を感じられていることが、一番気持ちの切り替えに役立つ感情だと思っています。一つのことに集中するんじゃなくて、「1回、気分転換で外の空気を吸いにいく」みたいな感覚に近いのかもしれない。

――バランスを取るのは難しいことではなく、逆に楽しめることなんですね。

そうです！ 8月は舞台の本番期間の合間にアルバムのリリースイベントをやっていたんですが、「魂ごと移動できている」みたいな感じでした。舞台に立っているときの自分の魂と、歌を歌っているときの自分の魂は置き場所が全然違うんです。一点集中じゃないのは、自分が凝り固まらないという点で逆にいいことなのかなって感じています。私は固定概念を持ちがちというか、「こういうのがいいんだろう！」と狭く考えちゃうし、考えれば考えるほど思考が狭まっていくので、ジャンルを行き来することによって、視界が広がる感覚なんです。

20代後半からは体調管理を入念に!?

――最後に、「推し楽」は「推し活するあなたを“推す”メディア」ということで、鞘師さんの“推し”を教えてください！

ストレッチポールかな～？最近、はやっているからご存じの方も多いと思うんですけど、ちょっと短めのポールで、表面が柔らかくて凸凹している健康器具です。私はストレッチポールのおかげで息を深く吸えています（笑）。むくみも取れるし、日ごろの体調管理はストレッチポールでしています。体を整えていただくようにはしていますが、時間がないときは自分でケアしています。20代後半になってきたので、「体調管理の本番はこっからだな、気合い！」って気持ちです（笑）。

――ストレッチポールは最近買ったんですか？

4、5年使っているんですけど、最近はより大切さを感じているんですよ。移動が多い日や舞台で体を動かした日は、その日のうちにどうにかしないと次の日に持ち越してしまうので。それに、これから秋冬になると体が固まっちゃうと思うので、ほぐして血行をよくすることで予防するのもすごく重要だなと思っています！