2024年10月18日 18時00分
インタビュー
2024年10月18日 18時00分
インタビュー
ナツキ・スバルとベアトリスを思わせるすてきな衣装を身にまとった小林裕介さん、新井里美さん。
2024年10 月より3rd seasonの放送が開始しているTVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活(以下、Re:ゼロ)」。主人公ナツキ・スバル役を演じる小林裕介さんと、ベアトリス役の新井里美さんのお二人に、それぞれキャラクターを演じてきた苦労と、3rd seasonの見どころについてお話を伺いました。
©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活3製作委員会
――1st seasonが2016年の4月から始まって、もう8年続く息の長い作品です。お二人がこの作品に初めて触れたときは、どんな印象でしたか?
小林 初めてこの作品を知ったのはオーディションのときです。そのとき頂いた台本のせりふを読んだのですが、書かれているキャラ紹介とせりふが自分のなかで噛み合わなくて。(スバルは)すごく楽しんでいるかと思ったら、大激怒して、次に大号泣して、何がどうなったらそうなるのか、全然理解が追いつかなかったんです。そこで小説版がWebサイトの「小説家になろう」で連載されているので、そのせりふを検索したら該当シーンが出てきたんですよ。その前後を読んでいたときに、「あれ、なんかタイトルから受けた印象と違って、結構重い作品だぞ?」って思いました。
新井 そうだよね。
小林 “死に戻り”という設定も、何があってもやり直しできるってことだから、結構簡単に考えていたんですよね。ところが蓋を開けてみたら、元に戻るにも“死ぬ”という大きなトリガーがなきゃいけない。プラスその“死に戻り”を誰にも打ち明けることができない。だから、ずっと孤独に戦い続けなきゃいけないのが、特に1st seasonは続いていたので、演じていてしんどかったです。
そこに彼のちょっとうっとうしい面が目立っていたのも相まって、この作品は見る人を選ぶかもしれないなと感じていました。だからこそ、演じるときには、「僕だけはスバルを好きでい続けてあげよう」という思いを強く持っていたことを覚えています。
新井 見る人にとっても、何度か試練が訪れるんですよね。でも、私は1期のロズワール邸のお話はすごく面白かったです。演じている裕ちゃんは本当に大変だったと思うけれど。何度も気づいたら死んでいて、またやり直しで、みたいな。
でも「なんで死んじゃったんだろう」と悩むシーンもあって、はたから見ているとミステリーみたいな感じで面白いんですよね。スバルに共感するのはちょっと難しいところもありますが、ストーリー的にすごく魅力なところも多いので、くじけず見られると思います。
――小林さんが、初め「しんどかった」と言われていた死ぬシーンですが、演じる中で、その“しんどさ”をどのような形で乗り越えられましたか? それとも、まだ“しんどい”ことがありますか?
小林 どうなんでしょうね。1期のときには結構個人でずっと戦っていることが続いたので……。もちろんアフレコが終わったら、キャストのみんなが「大変だったね」ってねぎらってくれます。しかし、いざアフレコが始まるとどのキャラも“我関せず”のように振る舞うので、意外とそこが精神的にダメージになるんだなって。
なので、演じているときとそうないじゃないときとで割り切れない時期がありました。だからこそ、単純に一つ一つの死を絶対同じにしたくないし、軽いものにもしたくなかったので、いかに皆さんにちゃんと「つらいな」って思わせるか。死のレパートリーとか……。
新井 詳しいよね、死のレパートリー(笑)。
小林 喉を切られたらどんな声が出るかとか、お腹を切られたら逆に声が出せなくなるんじゃないかとか、そういうのは妄想するだけでも結構精神的にしんどいです。1期の収録をやっているときはまだオンエアが追いついてなかったから、みんながどんな反応するのかわからない中で、すごいもがき苦しんでいて。これで合っているのか、受け入れられるのかっていう不安もあって、本当にしんどかったですね。
新井 自分の身を削ってスバルの役に臨んでいるというか……ときどき見ていて痛々しくなるところがありましたね。裕ちゃんのあの役へのアプローチっていうのは、本当にすごいストイックなんです。マイク前に立っても完ぺきにスバルを演じるし、毎回鳥肌が立ちますね。「こういうアプローチできたの、裕ちゃん!」みたいなね、すごかったよ。
小林 ようやくファンの方とか、キャストの方々との関係性ができて、ストーリー的にもすべて一人で抱え込まなくていいっていう展開になったからこそ、昔ほどしんどくはないです。むしろ前向きに “死に戻れる”…… っていうとちょっと語弊があるかもしれないですけど。
新井 でもわかる。3rd seasonは特にそうだよね。
――特に、その3rd seasonでスバルの心の拠り所の一つとなっているベアトリスです。
新井 そうなんです。本当に裕ちゃんというかスバルというか、もうどっちって言ったらいいのかわかんないんですけど…… スバルも裕介も両方とも支えたいなと思うのが、3期の収録で私が大切にしていることです。ベアトリスは、スバルに連れ出してもらうことでようやく自分の人生を取り戻せた感じなので、スバルのためだったら、自分のできることをすべてやってあげたいと思っているし、私もそんな気持ちで裕ちゃんを支えたいと思っています。ちょっと公私混同な感じで(笑)。
小林 (笑)。
――演者としての小林さん、新井さんのそれぞれのお互いのイメージは初めと今で変わりましたか?
新井 そうだなぁ……。最初のシーズンのときよりもすごく自信があるし、技術も上がっていて頼りがいがあるなって思いますね。頼もしい座長になったっていうのは、キャストみんなの意見です。
小林 ありがとうございます。僕は新井さんの他の作品を見ていたこともあって、すごくすてきなお芝居をされるなって、ずっと感じていました。
新井 恐縮です。
小林 でも、どういうお人柄なのかは、やっぱりわからないところが多かったです。とくに、ロズワール編に突入して登場した新井さんと子安(武人)さんはキャリアが結構離れているので、ほぼ新人の僕たちからしたら遠慮してしまうこともありました。1st seasonのときはベアトリスとの絡みもそこまで多くはなかったので。
新井 そうだったね。
小林 ただ、2nd seasonのちょっと前ぐらいにお会いしたとき「『Re:ゼロ』そろそろだね」っていうふうにおっしゃってくださったことがあって。それ以降もふとした瞬間に、先輩たちが真摯に作品に向き合ってらっしゃるのが伝わってきて、ちゃんとそれを感じるとれるようになったんです。多分それは僕もある程度キャリアを重ねて周りが見えるようになってきたからなんだと思います。あと、新井さんは直接言葉で言ってくれるのがいいですよね。
新井 言ったほうがわかりやすいと思うので。裕ちゃんにはちゃんと言葉で伝えたいといつも思っているし。
小林 ですから、今は本当に心が許せる人間の一人っていう……。先輩ではあるんですけど、本当に何でも話せる家族のような存在です。
――お二人の転換期は2nd seasonが始まるころということですが、スバルとベアトリスの関係性の大きな転換期はどこでしたか?
新井 そうだなぁ……、やっぱり大きな転換期っていったら2期の最後ですよねぇ。それまでスバルのことを名前で呼んだこともなかったのが、初めて名前を呼んだので。
小林 ベアトリスはずっと「その人」(※)を待ち続けていたので、スバルが来たときに「その人」かもしれないっていうのは考えたと思います。でも、やっぱり違うかもしれないって心を開ききれずにいたんですけれども、2期の最後に「『その人』じゃなくてもいい。自分の一番をスバルにしよう」って決めたんだと思います。
※『強欲の魔女』エキドナが、ベアトリスに「『その人』が扉を開けて、君に役目の終わりを告げるまで禁書庫を守るよう」にと伝えた何者かのこと
新井 あと、やっぱり子安さんとも2nd seasonですごく距離が縮まったよね。ロズワールとスバルが一対一でやり合うシーンがあったんですけど、すごく自信を持って子安さんに臨んでいたし、すごいいいシーンだったんですよね。あれもぜひ見てほしいな。
小林 そうですね。
新井 対等にやり合っていたので、よかったねぇ。Bパートもずっと二人でしゃべってたんですけど、一発OKでしたね。それを知って見てもらうとまた感じ方が違うと思います。スバルの成長もそうだけど、裕ちゃんの成長もすごくうれしいです。
――お二人でのシーンが、3rd seasonではより増えると思うんですが、見どころとか収録現場であったお話とか、話せる限りで教えていただけますか。
小林 もう、ズバっと言っちゃいますけど、スバルと心の距離が一番近いのはベアトリスです!
新井 そう言ってくれるかい。
小林 契約っていうものがあるのももちろんですけれども、もうベアトリスの心の開き方がすごくて。
新井 うん、そうなの。
小林 スバルには今後も話せないことがあると思うんですけど、そういうのを全部ひっくるめて受け入れてくれるのは、エミリア以上にベアトリスなのかな……。第2話だったかな、あの言葉には泣きそうになっちゃって。
新井 あのせりふだ。2nd seasonが終わってから3rd seasonまで1年間ですけど、その1年間の間に二人で特訓したね。
小林 そうですね。
新井 あとはなんだろう……。スバルが誰にも言えない秘密を抱えているというか、何かあるなっていうのは多分ベアトリスは感じているんじゃないかなって思っていて。
小林 理屈じゃないんでしょうね。この人を信じて支えていくっていう強い意思が伝わってくるんです。
新井 スバルが言うならわかった、私はあなたのために力を尽くそうっていうシーンが出てくる。
――最後にお二人が今それぞれ推されているもの、“推し”を教えてください。
新井 じゃあ、私は腸活で。
小林 腸……(笑)!
――いつごろからやられていますか?
新井 多分“腸活”っていう名前がつく前から、ずっと乳酸菌とか腸内環境にいいことが大好きで腸活はしていたと思うんです。最近はぬか漬けとか、塩麹を手作りする講座みたいなのにも行っちゃったりとかして、ちょっとやばいです。腸活、推しています。
小林 本当に申し訳ないのですけど、今まで人生で“推し”というものができたことがなくて。でも推しを見つけることで人生が豊かになるっていう気持ちはすごくわかるので、やっぱり欲しいなとは思います。だから僕は“推し”を探している最中です。皆さんの中で “推し”が見つからないっていう方も、「これかも」って思ったときは一回全力で推してみてほしいです。
新井 そうだね、裕ちゃん趣味とかは?
小林 えっと……、無趣味なんで(笑)
新井 そうだよね(笑)。趣味の話したことないなと思って。でもお酒は好きだよね。
小林 お酒は好きだけど、こだわりなく何でも好きですね。広く浅くっていう感じなので。だから、いつか“推し”ができたときには、今まで貯めたものを全部放出して、湯水のようにお金を使って、全力で推してみたいなと思っています。
新井 なんか裕ちゃんの場合は、趣味とかで“推す”っていうよりも、まず仕事に全精力をつぎ込んでくれているので。
小林 器用じゃなくてすみません。
新井 そんなところも私はいいと思っている。
小林 ありがとうございます。なんでも肯定してくれて、うれしい。
新井 いいの。裕ちゃんがいいの。はい。いちゃつきました、はい。
取材・文:ミィム(HEXBLOCK)
撮影:SATO
©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活3製作委員会
2024年10月2日(水)スタート
出演
ナツキ・スバル:小林裕介
エミリア:高橋李依
ベアトリス:新井里美
スタッフ
原作:長月達平
監督:篠原正寛
キャラクター原案:大塚真一郎
制作:Re:ゼロから始める異世界生活3製作委員会
主題歌
オープニングテーマ:鈴木このみ「Reweave」
3月25日生まれ。東京都出身。ゆーりんプロ所属。「Re:ゼロから始める異世界生活」ナツキ・スバル役をはじめ、「Dr.STONE」石神千空役、「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」イスカ役、「超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!」御子神司役など、数々の作品で主役を演じている。そのほか主な出演作に「ミュークルドリーミー」(南川朝陽役)、「魔術士オーフェンはぐれ旅」(マジク・リン役)、「SHIROBAKO」(平岡大輔役)、「炎炎ノ消防隊」(アーサー・ボイル役)、「暁のヨナ」(スウォン役)など多数。
1980年7月4日生まれ。埼玉県出身。愛称は”みっこ”。AB型。主なアニメ出演作品は、「とある魔術の禁書目録」(白井黒子役)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(ベアトリス役)、「コードギアス反逆のルルーシュ」(篠崎咲世子役)、「蒼穹のファフナーEXODUS」(要咲良役)、「宇宙戦艦ティラミス」(シゲルコ・ホンダ役)、「ベルセルク」(イバレラ役)など。ナレーションでは、TBS「新どうぶつ奇想天外!」などを担当。第5回声優アワードの助演女優賞を受賞。
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