キャラの濃淡も自由自在！“グラデーション声優”福山潤の代表作を振り返り

“じゅんじゅん”の愛称で親しまれる声優の福山潤さん。キャリア27年と声優として活躍しながら、声優事務所「BLACK SHIP」の共同社長も務めています。出演したアニメは膨大な作品数で、主演作品に絞っても相当な数です。11月26日に46歳を迎えられた福山さんの誕生日を記念して、今回は福山さんが演じた魅力的なキャラたちをご紹介します。

カメレオンとグラデーション、
2つのスキルをあわせ持つ声優！

多種多様なキャラクターを、さまざまな声色と演技を駆使して担う声優は“カメレオン声優”と称されます。福山さんの場合はその要素に加えて、似たタイプのキャラクターでもテイストをさらに細分化し、完全に演じ分けることができるのです。

たとえば今期放送中のTVアニメ「妖怪学校の先生はじめました！」の学園長、そして2010年から特殊な2期構成で合計5クール放送された「デュラララ!!」の岸谷新羅、そして「暗殺教室」の殺せんせー、この3人の声を聴き比べてみてください。

三者ともコミカルなキャラクターですが、学園長は低音ベースでありながらややソフトなコーティングをした声色、新羅は低音とはうって変わった弾けたおちゃめなハイトーン。

さらに殺せんせーはネットリとしているトボケたしゃべり口に冷静さがうかがえるなど、まるで色調を徐々に変えていくようにして、同要素を持つキャラを何段階かに調節しまるで色調の濃淡を変えるようにして、キャラクターの持つ要素を何段階かに調節して演じる“グラデーション声優”とも呼べるのです。

福山さんは1998年にアニメデビューをしています。初主演となる作品はそれから2年を経た、2000年のロボットアニメ「無敵王トライゼノン」での神威章役ですが、この作品では野生児的な熱血少年を演じる貴重な福山さんの声を聞くことができます。そして同年にセカイ系ラノベ原作アニメ「ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom」で早乙女正美役を担当しますが、この2人のキャラクターは同じ声優が演じているとは思えないほど振り幅がすごいです!!

デビューからわずか3年目にして、正統派主人公の野生児熱血少年役（神威章）と、感情のない乾いたトーンのサイコパスな高校生役（早乙女正美）を演じた福山さん。ここまで温度差のある演技を同時期に演じられるのは、当時すでに“カメレオンスキル”を身に着けていたことを物語っています。

「コードギアス反逆のルルーシュ」での大躍進！

2006年の放送以降、現在でも劇場版としてスピンオフ、総集編や続編などが展開され続けている「コードギアス反逆のルルーシュ」（以下：コードギアス）。こちらの主人公、ルルーシュ・ランペルージは、復讐のために学生と仮面の男ゼロの2つの姿を持つクレバーな策略家。しかし実は繊細で苦悩する内面を抱える能力者という難しい役柄です。

このキャラクターを見事に演じきり、育て上げたことにより、福山さんの数ある人気キャラクターの中でも代名詞的な存在として、20年近く経ってもファンから熱く支持され続けています。「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」や「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる！」という決めぜりふが今なお色あせず、ファンの耳に残り続けるのは、福山さんの持つ声の力でしょう。

また、「コードギアス」が放映された2006年には「学園ヘヴン BOY'S LOVE HYPER！」でボーイズラブ（以下：BL）アニメに主人公として出演。「金色のコルダ～primo passo～」では乙女ゲームアニメにも出演しています。さらに斬新な設定で話題になった「プリンセス・プリンセス」に出演。