2024年09月05日 12時00分
インタビュー
2024年09月05日 12時00分
インタビュー
「ブラックボックス」をリリースしたアーティスト・LiSAさん
真っすぐでパワフルな歌声とパフォーマンスで魅了するシンガー・LiSAさん。アニソンシーンだけでなく、数多くのロックフェスなどでも存在感を示す彼女が22ndシングル「ブラックボックス」を8月21日にリリースしました。
7月に先行配信された、アニメ「NieR:Automata Ver1.1a」(ニーア オートマタ)第2クールオープニングテーマにもなっているリードトラック「ブラックボックス」は、amazarashiの秋田ひろむさんが提供。切なくも美しいメロディーをドラマチックに歌い上げた彼女の歌声が、多くの人の魂を揺さぶる一曲となっています。同じく先行配信された「MAKE A MiRACLE」は、ボートレース 2024 TVCMタイアップソングにもなったアッパーチューン。そして、気鋭のアーティスト・キタニタツヤさん提供の「洗脳」。この3曲が収録されたシングルリリースを記念し、LiSAさんにインタビューを実施。歌に込めた思いをはじめ、自身の“核”となることについても語ってもらいました。
――「ブラックボックス」の仮歌(デモ音源)をお聞きになった際の第一印象をお聞かせください。
秋田さんからデモ音源をいただいた段階で、もうamazarashiさんの新曲だと思いました。秋田さんのご自身のお歌が入っていた状態だったので、自分の世界観に引き寄せて歌うのが結構難しいな、と。私自身は、作品の結末をすでに知ってしまったうえで楽曲をいただいたので、すごく苦しい歌だなと感じました。でも、秋田さんはやっぱり作品をすごく深く理解していらっしゃるので、とても作品に寄り添った楽曲だなとも感じましたね。
――作詞・作曲を手掛けたamazarashiの秋田ひろむさんの印象は?
私の表現方法とは遠いところにいる存在のアーティストさんという印象でした。というのも、秋田さんは悲しみを悲しみとしてきちんと表現されるタイプ。私はどちらかというと悲しみをエネルギーにして発散するような表現をするので、全然違うと感じつつ、同時にすごく憧れもありました。悲しみをしっかり悲しみとして表現して、それを赤裸々に話したり、寄り添ったりする秋田さんの悲しみとの対峙の仕方に憧れていました。
――レコーディングに際し、秋田さんから何かメッセージはありましたか?
私自身は秋田さんとこの楽曲について会話をしていませんが、アニメの制作チームの皆さんとお話しいただいたうえで制作していただきました。最初は作品の楽曲として捉えていたんですが、実際にレコーディングで自分が歌い出したときに、すごく自分の体の中に馴染んで。大事な人を亡くしたことがある方や、触れたい人の心に触れられなかった後悔を持った方に、きっとすごく寄り添ってくれる楽曲だなと歌いながら感じました。
――レコーディングで意識したことを教えてください。また、気に入っているフレーズはありますか?
レコーディングでは、感情を内に秘めた状態で、とつとつと歌っていくことを意識しました。特にABメロは暗いところから始まるので、しゃべるように語るように歌うことを心掛けたんですけど、終盤に向けて自然と、いつもの私の“感情が爆発するような表現方法”に連れて行かれたような曲です。歌詞の中で「知らなかった 知りたかった 君の笑顔 湧き出す場所」というフレーズがあるのですが、ラストのサビでは「君の涙 湧き出す場所」と、“笑顔”が“涙”になっていて、「NieR:Automata Ver1.1a」の主要キャラクターでアンドロイドの2Bと9S、どちらの気持ちとも取れて、すてきだなと感じています。
――ジャケットやミュージックビデオでのこだわりを教えてください。
ジャケットのビジュアルは、楽曲の空気感を大事にしつつ、“ブラックボックス”というところも取り入れて“ボックスを開けたときに溢れ出た色”をイメージして制作しました。「NieR:Automata Ver1.1a」の作品は別の惑星のお話で、楽曲の中にも“スペースシップ”“流星”“引力”といった宇宙空間を感じられる言葉やスペーシーな音が入っているので、 MVはパラボラアンテナがあったりと宇宙や壮大さを感じられるような場所で撮影しました。
――楽曲が入った「NieR:Automata Ver1.1a」第2クールのオープニング映像をご覧になっていかがでしたか?
アニメ制作チームとお話ししたうえで秋田さんが作品に寄り添って楽曲を作ってくださっていることもそうなんですけど、そこからさらにアニメーターの皆さんが、例えば「流星を見た」などのフレーズを受け取ってOP映像を作ってくださっている印象があって、とてもうれしかったです。私自身の感情として歌った部分もたくさんありましたが、作品と楽曲が混ざり合い、今は9Sの歌のように感じています。
――“ブラックボックス”にちなんだ質問です。LiSAさんは自分の心の内を開示するタイプですか? それとも、自分の中でしまっておくようなタイプですか?
基本的にはしまっておきたいです。でも、人の心は見たいと思います(笑)。すごく日本人らしいタイプですね。私の座右の銘「今日もいい日だっ。」という言葉も、実はすごくマイナス思考な自分を矯正するための言葉でもあるんです。「今日、こんなことやっちゃったな」とか「あんなこと言っちゃったな」とか、できなかったことばっかり数えちゃうタイプなので、そのマイナスな思いを家に持ち帰って、一人で一つずつ振り返っては「うん、でも今日も大丈夫!」と、自分を安心させるために「今日もいい日だっ。」というハンコを押していくような感覚なんです。そういう意味では、“開示しないで自宅に持って帰って、一人で開けて楽しむ”みたいなところはあります(笑)。
――「NieR:Automata Ver1.1a」での“ブラックボックス”は、2Bたちアンドロイドの核となるユニットとして描かれていますが、LiSAさんにとっての“核”になるようなもの、「これがあるから自分でいられる」というものはありますか?
“大変な経験”です。困難と向き合ったときに自分が強くなれる感覚もありますし、困難があるからこそ幸せを感じられる瞬間もあります。そういった困難があるからこそ感じられることが、私の楽曲の源になっているので、LiSAとしての制作をするうえでは“困難”が、核になっていると思います。
――カップリング曲「MAKE A MiRACLE」は、LiSAさんが作詞されていますが、こだわった表現など制作秘話を教えてください。
私自身がロックやパンクを好きになった原体験が、アヴリル・ラヴィーンにあるんですけれど、アヴリルが生み出してきたような、自分のうっぷんを全部晴らしてくれるようなエネルギーのある楽曲を「MAKE A MiRACLE」ではやりたいと思いました。そのうえで、「ただ音楽を楽しもう」だったり、「ミラクルを探しに行くぞ」みたいな、引率していくような楽曲になるといいなと思って、口鳴りのいい言葉を使いながら、進んでいくエネルギーを持った楽曲を意識して制作しました。
――もう一つのカップリング曲「洗脳」はキタニタツヤさんからの提供曲ですが、制作するうえでキタニさんとはどのようなやり取りがありましたか?
キタニさんから楽曲をいただいたとき、「ライブを見て、LiSAさんにこれを歌っていてほしいなって思った」という言づてがあったんですけど、キタニさんから見た私はこんなに悪魔なんだなって(笑)。 命令口調の楽曲だったので、私に強い印象があったんだなと思いました。
――シングル「ブラックボックス」はどんな作品に仕上がりましたか?
異なる色の楽曲がそろったシングルだと思います。「ブラックボックス」を筆頭に、いろんな世界、色に変わっていく3曲をお楽しみいただけるとうれしいですね。
――9月から開催される全国8カ所のアリーナツアーへの意気込みをお聞かせください。
2024年はソロデビュー13周年なので、「ROUTE13」という年間テーマを掲げて活動しています。クリエイターの方々や、ライブを一緒に盛り上げてくれるダンサーの皆さんとのいろいろな出会いがあって、彼らと混ざり合って作ってきた13年だなと、活動しながら感じました。9月からのツアーのタイトルは「COCKTAiL PARTY」。カクテルはいろんなものを混ぜて作っていくものなので、そういった皆さんとの出会いがあったうえで、さらに新しい味をみんなで楽しめたらいいなという思いを込めています。楽曲をライブで育てていくことが私の役割でもあり楽しみの一つなので、「ブラックボックス」に収録されている3曲がこれからどう成長していくのか楽しみですね。ぜひ足を運んでいただけたらうれしいなと思います。
――最後に、LiSAさんが今“推しているもの”についても教えていただけますか?
推しはミニオンです。 この前までアジアツアーを行っていましたが、日本にはないようないろんなグッズがその国々であるんですよね。私はトイが好きなので、フィギュアを集めています。自宅はミニオンだらけになっているので、ぜひ皆さんに収納方法を教えていただきたいですね。日々増えていくミニオンは、実家の “ミニオン部屋”に置かせてもらってますが、母にも困られています(笑)。映画「ミニオンズ」が日本で公開されたタイミングで、やっと日本でもグッズが増えて。元々日本にはそこまでグッズがなかったので、それまでは海外で買い漁っていましたね。
――相当な熱量ですね。ミニオンが推せる理由はどんなところですか?
「かわいいのにいい子じゃない」ところが好きです。彼らって、悪党についていくじゃないですか。悪いことをしてもヘラヘラ笑っているという、いたずら心があって何でも楽しんじゃうところがとても好きです。
取材・文:中村実香
撮影:木村直軌(tweety)
6月24日生まれ。岐阜県出身。2011年、ミニアルバム「Letters to U」でソロデビュー。TV アニメ「Fate/Zero」「ソードアート・オンライン」「魔法科⾼校の劣等⽣」「⻤滅の刃」シリーズなど数々の⼈気アニメ主題歌を担当する。代表曲「紅蓮華」(’19年)は、Spotifyで6億回再生を超え、2020年「海外で最も再⽣された国内アーティストの楽曲」1位にランクインするなど国内外で大ヒットを記録した。2023年6⽉には映画「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」⽇本語吹替版主題歌「REALiZE」を配信リリースし、9⽉にはStray KidsのJAPAN 1st EP「Social Path (feat. LiSA)」に参加するなど、活躍の場を広げる。2024年9⽉からは全国8都市を回るアリーナツアー「ソニー銀⾏presents LiSA LiVE is Smile Always〜COCKTAiL PARTY〜[SWEET&SOUR]」を開催。熱量の高いパフォーマンスとポジティブなメッセージが込められた楽曲で、数多くのロックフェスでも圧倒的な存在感を示し続けている。
2024年8月21日発売
※写真は初回生産限定版
初回生産限定盤(CD+GOODS)
CD
01. ブラックボックス
02. MAKE A MiRACLE
03. 洗脳
04. ブラックボックス -Instrumental-
GOODS
・フォトブックレット(20P)
・ステッカー(4枚組)
通常版(CD)
CD
01. ブラックボックス
02. MAKE A MiRACLE
03. 洗脳
04. ブラックボックス -Instrumental-
期間⽣産限定盤(CD+Blu-ray)
CD
01. ブラックボックス
02. MAKE A MiRACLE
03. 洗脳
04. ブラックボックス -Instrumental-
05. ブラックボックス -TV ver. -
Blu-ray
01. ブラックボックス -MUSiC CLiP-
02. MAKE A MiRACLE -MUSiC CLiP-
03. ブラックボックス -NieR:Automata Ver1.1a 第2クールnon-credit opening-
90
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