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RIIZEの“エモーショナルポップ”とは。5つの代表曲と「Lucky」を音楽的にひもとく

2024年09月04日 17時00分

特集

RIIZE

韓国デビューからわずか1年、すでに世界中のヒットチャートをにぎわすグローバルボーイズグループ、RIIZE。今年は国内最大級の音楽フェス「SUMMER SONIC 2024」に出演し、さまざまな音楽ファンにその実力と存在感を見せつけました。そんなRIIZEのユニークな音楽性の秘密はどこにあるのでしょうか? 日本デビューシングル「Lucky」のリリースを前に、5つの代表曲をひもとき、その魅力に迫ります。

5つの代表曲からRIIZEの音楽性の秘密を探る

韓国の大手芸能プロダクション・SM Entertainmentに所属するRIIZE。メンバーはショウタロウ、ウンソク、ソンチャン、ウォンビン、ソヒ、アントンで、SM発のボーイズグループとしては約7年ぶりとなる大型新人です。

デビュー前から各方面の話題を集めていた彼らは、2023年9月に発売された初シングル「Get A Guitar」でミリオンセールスを達成。その後も新曲を発表するたび韓国のみならず世界中のヒットチャートをにぎわし、わずか1年足らずでグローバルな人気を獲得しました。

来たる9月5日には日本デビューシングル「Lucky」をリリース。全国ホールツアー「2024 RIIZE FAN-CON 'RIIZING DAY' JAPAN HALL TOUR」も盛況のうちに終え、これから日本でもますます人気を集めていくことが予想されます。

そんなRIIZEが自分たちの音楽性を表現する際、使うのが“エモーショナルポップ”という言葉。メンバーの多様な経験や感情を音楽に込めるRIIZE独自のジャンルということですが、具体的に彼らの曲においては何が表現されているのでしょう? ここまでの代表作を紹介しながら、RIIZEのユニークな魅力に迫っていきます。


「Get A Guitar」——ファンキーなギターとレトロなシンセに彩られた自然体の魅力

「もしも何か遊ぶものがほしければ、ギターを手にとってみなよ」というウォンビンのいたずらっぽいイントロから始まる、記念すべきデビューシングル。

タイトルが示すようにファンキーなギターが印象的で、キレのよいカッティングリフが何度もリピートされます。そこへさらにレトロでブギーな雰囲気のシンセも加わるとなると、プリンス「1999」やマイケル・ジャクソン「P.Y.T. (Pretty Young Thing)」などを連想する人も多いかもしれません。

ただそのような1980年代の名曲と比べるとメロディーはどことなく落ち着いたムードがあり、リラックスした感触。コーラスの「Get get get get a guitar」というフレーズにもさらりと聴ける聞きなじみのよさがあります。ディスコやファンクならではの突き抜けた楽しさを、エネルギッシュなダンスと抜けのよいトラックで表現しつつ、RIIZEの自然体な魅力も伝わってくる一曲です。

「Talk Saxy」——サウンド、ダンス、衣装、ロゴで表現されたヒップホップ/R&Bマナー

ブラスセクションを前面に押し出した、ゴージャスでダンサブルなR&Bチューン。艶やかなサックスの音色がTR-808(※)のドラムや勢いのあるチャントと絡み合う、ヒップホップからの影響も色濃いトラックには、DJ Mustardやリッチ・ハリソンによるプロデュースワークにも通じるものがあります。もちろん曲名からジェイソン・デルーロ「Talk Dirty」を想起する人もいるでしょう。

※1980年に発売されたRoland社のリズムマシーン。クラブミュージック、R&B、ヒップホップをはじめ、さまざまなジャンルのミュージシャンが愛用し、そのサウンドは数々の名曲で使用されている

そんなR&Bファンならニヤリとしてしまう要素もありつつ曲をぐいぐいとけん引するのが、ハイレベルなボーカルと躍動感に満ちあふれたコレオグラフィー。特にブリッジでの「왜 그렇게(どうしてそんなに)~」からのソヒのグルーヴ感は絶品の一言です。

ストリートグラフィティーのような書体のロゴ、RIIZEオリジナルのスポーツウェアの着用など、ヒップホップ / R&Bマナーに沿ったビジュアルも見逃せません。本格的なR&Bサウンドを自分たちなりに消化しきる、RIIZEのパフォーマーとしての実力を堪能できる曲です。

「Love 119」——切なさとノスタルジー、青春のきらめきが同居するダンスポップ

韓国を含め世界中の国々で大きな反響を呼び、RIIZEの知名度を高めた一作。2005年のKBSドラマ「快傑春香」で使われたiziの「救急室(Emergency Room)」というバラード曲からピアノや一部メロディーなどをサンプリングし、トラップ調のビートに乗せダンスポップとして仕上げた曲です。

ループする切ないピアノの音色、初恋のときめきを歌い上げる歌詞、ささやくような甘い歌声。それらが現代的で軽快なトラックと合わさり、気軽に聴きやすいのにどこかノスタルジックな感覚にもなるという、難しいバランスをクリアしています。2000年代のムードを今の視点から巧みに再構築したといえるでしょう。

さらに曲のイメージ作りに大きく寄与したのが、日本で撮影されたミュージックビデオ。

日本の青春映画のような舞台を背景に、今どきの若者らしくカラオケで騒いだり無邪気に駆け回ったりするRIIZE。その姿からは多くの人が若き日のまばゆいきらめきを感じとったに違いありません。デビューしたばかりの今の彼らにしか表現できないものが、2分53秒にぐっと凝縮されています。

「Impossible」——正統派なハウスのサウンドが生み出す、解放感と享楽性

“The 1st Mini Album”である「RIIZING」からのプロローグシングル。さまざまなジャンルの要素を組み合わせることの多いK-POPですが、ここでRIIZEは珍しく正統派なハウスに挑戦しています。

2010年代のK-POPにおけるハウスは同時期のイギリスにおけるガラージ / ディープハウス人気の流れを感じさせる作例が目立ちましたが 、この曲で参照されているのはそれよりもさかのぼった1990年代のクラシックなサウンド。ストイックなハウスビート、スペーシーにうねるシンセ、ソウルフルで疾走感のある歌メロ、小気味のよいピアノリフ。アシッドハウスやフレンチハウス、ガラージハウスなどの影響が細部から垣間見えます。

リスボンで撮影されたMVにはレイヴパーティーのようなシーンもあり、パンデミック後に世界各地で高まるダンスフロアへの熱気を反映したような印象も。高難度のハウスダンスを大胆に取り入れた振り付けも素晴らしく、このジャンルがもつ解放感や享楽性を、うまく表現することに成功しています。

「Boom Boom Bass」——強烈なベースがRIIZEの前のめりな勢いをさらに加速させる

「RIIZING」のリード曲。ディスコ要素を盛り込んだ明るいシンセファンクで、「Get A Guitar」の制作陣が多く参加しているのも納得な仕上がり。

この曲の魅力はなんといってもベースの強烈な存在感にあります。世界的なバンド、Dirty Loopsのヘンリック・リンダーによるエッジの効いた演奏は、思わず体が動きだすファンキーさ。心臓を叩きつけるような振り付けも相まって、後半に向かってどんどん熱量が上がっていくように感じられます。

随所で登場するボコーダーなど、80年代的なレトロなサウンドの作り込みも巧み。ダンスブレイクでのショウタロウの超絶技巧によってテンションが最高潮に達し、ラストは多幸感に満ちあふれたコーラスになだれ込みます。RIIZEの若々しい前のめりな勢いが、パワフルなベースとシンセによってとめどなく加速していくような、興奮に満ちた一曲です。

スキルフルで魅力あふれる日本デビュー作「Lucky」

ここまでRIIZEの主要曲を振り返ってきました。どれもダンスミュージック史上の名曲を踏まえつつ、RIIZEのメンバーたちが持つナチュラルなムードや存在感を聴いていておのずと感じられるような仕上がりになっています。

それはもちろん新曲「Lucky」においても変わりません。「幸せは自分次第」と呼びかける前向きな歌詞に、「So Lucky, Lucky」とリフレインするフレーズやはじけるようなクラップが合わさって、どんなリスナーにも優しく寄り添ってくれる良質なディスコポップに仕上がっています。PS2時代のゲームを思わせるサイバーでビビッドなエフェクトが多用されたMVも、Y2Kカルチャーの再解釈として秀逸。


さらにカップリング曲「Be My Next」はふざけあうメンバーの声や陽気なギターの音色が印象的な楽しいポップソングで、メンバーたちの仲のよさやリラックスした雰囲気が伝わってきます。


一方で地上波ドラマ主題歌として発表された「Same Key」はJ-POP的な聞きなじみのよいメロディーラインが面白く、いろんなタイプの曲に柔軟に対応可能な彼らのスキルを印象付けています。待望の日本デビューにふさわしい、充実した内容のシングルであるといえるでしょう。

デビューから1年。“エモーショナルポップ”の現在地は?

こうやってRIIZEのディスコグラフィーを最新曲まで追っていくと、そのどれもがファンクやハウスなど各ジャンルに対する深い理解が詰め込まれていることに驚かされます。けれどもRIIZEの達成は、そんな複雑な楽曲を着実に乗り切ってきたというだけにはとどまりません。

むしろここで注目すべきは、彼らがそのようなハイレベルな曲を披露していくうえで、常に若者らしいみずみずしく爽やかなカラーを押しだすことにも成功してきたという点にあります。

「Love119」の青春時代への甘いノスタルジア。「Impossible」のあふれるバイタリティーとダンスフロアが出会った高揚感。「Get A Guitar」の構えすぎずグルーヴを楽しむ自由な姿勢。どの曲にも今のRIIZEにしか表現できない鮮烈な感情や明るく軽やかなエネルギーがほとばしっており、彼らの親しみやすいムードが率直に伝わってきます。

RIIZEが掲げる“エモーショナルポップ”とは何なのか? きっとそれはダンスミュージックの歴史と蓄積を尊重しながら、そこに今この瞬間の彼らのありのままを溶け込ませる、その結果をそう呼ぶのでしょう。

RIIZEがここまで多くの人々からの共感を得るようになったのも、リスナーに曲を通しその存在感を鮮やかに届けることができたという点が大きいはず。卓抜したパフォーマンスで魅了しつつ、さらに感情のレベルでもリスナーとつながっていく。それがうまくいっているのは、日々勢いを増すRIIZEとBRIIZE (ファンダムネーム)の存在が証明しています。

彼らが次にどんな“エモーショナルポップ”を届けてくれるのか。世界中がそれを期待し、待ち望んでいます。

文:セメントTHING

RIIZE「Lucky」

2024年9月5日発売

 

初回生産限定盤A(CD+Photobook)
初回生産限定盤B(CD+DVD)
通常盤
完全生産限定盤 (SHOTARO ver.)
完全生産限定盤 (EUNSEOK ver.)
完全生産限定盤 (SUNGCHAN ver.)
完全生産限定盤 (WONBIN ver.)
完全生産限定盤 (SOHEE ver.)
完全生産限定盤 (ANTON ver.)

 

CD
01. Lucky
02. Be My Next
03. Same Key

 

初回生産限定盤B
DVD
“Lucky” Music Video、Behind The Scenes

RIIZE The 1st Japan Single 'Lucky'
RIIZE「Lucky」

RIIZE

SM Entertainment所属のグローバルボーイズグループ。「成長する(Rise)」と「実現する(Realize)」という意味の英単語を合わせて作られたグループ名には、「共に成長し夢を実現して進むチーム」という意味が込められている。2023年9月4日、初のシングル「Get A Guitar」は正式デビュー後、1週間でアルバム販売量101万枚を突破した。2024年6月には1stミニアルバム「RIIZING」をリリースし、2024年7月から9都市15公演をめぐるジャパンツアー「2024 RIIZE FAN-CON 'RIIZING DAY' JAPAN HALL TOUR」を開催。2024年9月5日に日本デビューシングル「Lucky」を発売する。

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