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塩野瑛久が「チャチャ」の“愛されるヒモ役”に込めたもの

2024年10月10日 17時00分

インタビュー

映画「チャチャ」で、謎の男・護を演じる塩野瑛久さん

映画「チャチャ」で、謎の男・護を演じる塩野瑛久さん

大河ドラマ「光る君へ」の一条天皇役で、雅な美しさが話題を呼ぶ塩野瑛久さん。ドラマ、映画の出演作が相次ぐ中、「美しい彼」シリーズなどを手掛けた酒井麻衣監督の「チャチャ」が明日10月11日より公開されます。伊藤万理華さん主演の風変わりなラブストーリーで、塩野さんは物語のキーになる謎の男という役どころ。さまざまな役に外見をも変え挑み続ける塩野さんの、演技観も含めてお話を聞きました。

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10代からの目標に到達するために

――もう10年以上、活躍を続けられている塩野さんですが、最近一段と出演作が続いています。

そうですね。今は頑張りどきだと思っています。

――30代を前に、俳優として何かに開眼したようなところもありますか?

そんなことは全然ないです。マインドは10代で始めたときから、ずっと変わっていません。

――ずっと大切にされていることがあると。

当たり前のことですが、一つ一つの作品を大切にしています。お芝居にもいろいろなジャンルがありますし、10代の頃から目標としているところに到達するためにも、僕の場合、さまざまな行程を踏まないといけなくて。今も地道に石橋を作っている段階です。

――10代から変わらない目標があるんですね。

俳優として、僕はまだ何者にもなれていない気がするんです。認めてもらえた証みたいなものを掴みたいです。

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――幅広い役柄を演じられている中で、こういう役は得意とか、ちょっと入りにくいというようなこともありますか?

きっとあるのかなと思います。今回「チャチャ」で演じている護も近いですが、あまり深く考えずに発言するタイプの役柄は自分と正反対なので、なかなか苦労するところはあります。

――髪型など外見も役によってだいぶ変えられている印象があります。そこは塩野さん自身のこだわりがあるんですか?

あります。髪型はもちろん、眉毛も意外とポイント。皆さんそんなに注目される部分ではないかなと思いますが、僕の中では大きくて。あと、体型も微妙な細さや筋肉量を、役どころによって変えています。

――ロバート・デ・ニーロのように、目に見えてわかる増量や減量をする役者さんもいますが、そこまで目立つわけでなくても体型に気を配ると。

以前、自分の役が病気になる撮影のときに、監督に「痩せた?」と気づいてもらえたりもしました。微妙なレベルで体を作るときもあれば、わりとしっかり取り組むときもあります。

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――「無能の鷹」の鶸田道人役のビジュアルが発表されたときも、「一条天皇と同じ人に見えない」との声がネットで上がっていました。

美容師さんに「ここの毛は要りません」「ここは要ります」と、細かくオーダーさせてもらいました。

――そういうふうに役に合わせた見え方にこだわり続けてこられたのは、いわゆるイケメン俳優の括りに収まらないところを目指していたからでもありますか?

目指したとかはないです。与えられた役に自分がしっかり寄り添って、務めていくのみかなと思っています。すごくカッコ良くて若い俳優さんもどんどん出てきているので、そこでない場所を見つけながら、自分らしさを確立させていけたらいいなと思います。

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護はどこか抜けていて、嫌われない

――「チャチャ」の護役も、まず外見から作っていったのですか?

爪をずっと伸ばしていました。後半には手足を縛られて、切れなくなるので。ヒゲは自分のイメージで伸ばして、衣装合わせに行ったらOKをいただいたので、そのままでやることになりました。

――ヒモで“チャラい”感じのキャラクターを演じるのに、試行錯誤はありました?

めちゃめちゃ考えました。ヒモというのは強いワードで、じゃあ、どういう人がヒモになるのか? 愛される力やほっとけない何かがあると思うので、そういったところから護の人物像を作っていきました。

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©2024「チャチャ」製作委員会


――立ち居振る舞いで意識したことも?

せりふ一つにも角がないように作り込みました。同じせりふでも角をつけて話すことはできますが、衛はそういうところで何か抜けていたり、悪い言い方をすれば、他の人が見下せるくらいの雰囲気を持っていて。そういう人って愛されると思うんです。護はその中に愛情深さがあるから、人に嫌われない。そこが魅力だなと思って演じていました。

――そうした人物像が確立されたら、演じ方でそこまで悩むことはなかったですか?

映画の後半に護が追いやられる状況は、かなり過酷なんです。たぶん僕だったら、もっと必死になるし思い詰めるし、抜け出そうとしてもがきます。そこでも護は抜けていて、何とかなるだろうと思っている節が感じられて。

――そうですね。

事を荒立てないことに気を遣っていたり。自分だったらこうするけど、護はどうなのかというものを探して、バランスを取るのは難しかったです。

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――一緒に暮らしているピオニーのことは本当に好きみたいですね。彼女に向ける笑顔からも愛情が伝わりました。

ピオニーは護の中で大切で、すごく好きな人ですね。でも、それが描かれている場面は多くはなくて。他の役の視点では、ピオニーは護のことを好きなんだろうけど、護はピオニーを大切にしていないように映っていたと思うんです。でも、実はそうじゃない。ピオニーを本当に好きなことが、少ない描写で伝わればいいなと思っていました。

――後半のシーンは体的にキツかったのでは?

わりとキツかったですね。朝から晩まで、縛られた状況が続いたり。裸になった上半身にコンクリートが当たったりもして、痛かったです(笑)。

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©2024「チャチャ」製作委員会

追い詰められた状況をどこまで表現するか

――酒井麻衣監督とは「ご一緒したかった」とコメントされています。

以前ドラマでご一緒して、酒井さんの描く世界観にも惹かれていましたし、現場をまとめる力がすごくあって。とても作品に情熱を持っている監督だなと思っていました。またお声が掛かってうれしかったです。

――世界観にはどんな印象がありました?
“美しい”というのが最初に入ってきて、画面の端々にもこだわりが映っているんです。一つ一つの装飾や、この人物がこれを使っている、ということの説得力。感性も僕らの世代に近いリアルさがあって。美しさも画的なことだけでなく、泥くさいものが美しかったり、人間同士が思い合うすてきさを切り出せる方だと感じます。

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――「チャチャ」の現場でも、酒井監督ならではの演出は受けました?

いろいろありました。僕は最初に台本を読んだとき、護が追い詰められている状況をどこまで表現すればいいかわからなかったんです。そこのすり合わせはすごくしました。どのシーンにもこだわりが詰まっていて、共演者の皆さんも酒井監督の考えのどこにフォーカスを当てればいいか悩んだと、のちのち聞いて知りました。

――完成した作品を観て、どんな感想を持ちましたか?

前半と後半でだいぶ違う世界観だと改めて感じました。前半のさわやかでクスッと笑えるところもすてきでしたし、後半は同じ作品と思えないような感覚は、撮影していたときからありました。

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――「チャチャ」の公開日にドラマ「無能の鷹」もスタートします。まだ予告映像などしか拝見していませんが、鶸田道人の気弱そうな雰囲気は、どう醸し出しているんですか?

意識しているのは、背筋を丸めるとか。たぶん視聴者の方は、僕にひ弱な役のイメージはないと思いますけど、うまく表現できればいいなと。

――自分と掛け離れている役ではありますか?

そこまで掛け離れているとは思ってなくて、近い部分もあります。人前では緊張しいで、そういう状況だと良いパフォーマンスが出せなかったり。ものごとをどこか俯瞰で見て斜に構えている部分があるのは、すごく共感できます。

――菜々緒さんが演じる、デキるオーラをまといながら無能な鷹野ツメ子との、バディものならではの面白みもありますか?

意外とバディものではないんです。お仕事ドラマで、完成し切っていない人間がたくさん出てきて、各話でそれぞれの人物がフォーカスされます。全力を尽くす方たちばかりなので、見応えはバッチリだと思います。

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アニメの中でも「ヒロアカ」は飛び抜けて好き

――「推し楽」で恒例の質問になりますが、塩野さんが今“推しているもの”はありますか?

特別に何かを熱心に応援したり、追い掛けたりすることはあまりなくて。唯一、アニメ作品は展示会に行ったりしています。「ヒロアカ(僕のヒーローアカデミア)」は今まで出会ったアニメの中でも、飛び抜けて好きです。

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――「ヒロアカ」のどんなところに魅力を感じますか?

それを話すなら、一晩はもらいたい、というくらい好きです(笑)。僕は特定のキャラクターを推すことはあまりないのですが、「ヒロアカ」は最終的に全員を好きになった作品でした。この登場人物が好き、というより、周りの人物がいるから、その人物の輝く部分がフォーカスされる。だから、影響を与えたこっちの人物も好き、となるんです。主人公のデク(緑谷出久)も取り囲む全員も好き、という感じです。

――アニメは一気見するタイプですか?

気になった作品は順を追って、1週間待って観ていきます。全話配信されている作品でも2~3話ずつ、毎日こまめに観ることが多いですね。アニメを好きな理由のひとつが、配信なら1話が25分くらいで終わることなんです。1時間ドラマに出ている人間が、そんなことを言ったらいけませんけど(笑)、25分なら入口として入りやすい。とりあえず観て、また次の話、その次……となって、ハマっていくんですよね。

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取材・文:斉藤貴志
写真:山本絢子

チャチャ

2024年10月11日(金)公開

 

出演
伊藤万理華 / 中川大志 / 藤間爽子 / 塩野瑛久 / ステファニー・アリアン / 落合モトキ / 藤井隆

 

スタッフ
監督・脚本:酒井麻衣
主題歌:「おはようの唄」伊藤万理華(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給:メ~テレ / カルチュア・パブリッシャーズ
配給協力:ラビットハウス
製作プロダクション:ダブ
 

映画『チャチャ』|「(not) HEROINE movies」オフィシャルサイト

©2024「チャチャ」製作委員会

チャチャ

塩野瑛久(Shiono Akihisa)

1995年1月3日生まれ、東京都出身。2012年に俳優デビューし、2013年に「獣雷戦隊キョウリュウジャー」にレギュラー出演。主な出演作は映画「PRINCE OF LEGEND」、「HiGH&LOW THE WORST」、ドラマ「来世ではちゃんとします」、「ブラザー・トラップ」など。大河ドラマ「光る君へ」(NHK)、連続ドラマW「ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」(WOWOW)に出演中。「無能の鷹」(テレビ朝日ほか)が10月11日、「天狗の台所 Season2」(BS-TBS)が10月22日よりスタート。映画「チャチャ」が10月11日、「八犬伝」が10月25日より公開。

塩野瑛久 | ARTIST | LDH - LOVE + DREAM + HAPPINESS TO THE WORLD -
塩野瑛久(Shiono Akihisa)

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