2024年11月25日 21時11分
レポート
2024年11月25日 21時11分
レポート
作間龍斗主演「ニッポン放送開局 70 周年記念公演『138億年未満』」より
HiHi Jets・作間龍斗の初単独主演舞台「138億年未満」が11月23日に東京・本多劇場にて開幕。これに先駆けて行われた、囲み取材と公開ゲネプロの模様をレポートします。
ニッポン放送開局70周年記念公演として上演される本作は、岡山のとある海の見える街を起点とした青春群像劇です。作間が演じるのは、裏付けのない希望を抱き高校卒業後に上京するも、現実とのギャップにじわじわと押しつぶされていく主人公・小渕勲。福原充則が作・演出を担い、桜井日奈子がヒロインの韮沢カスミを演じています。
取材会には作間と桜井が出席しました。初の単独主演舞台への心境について作間は「単独主演もそうですが、演劇自体の経験がそこまでないので、まずどう稽古を進めていけばいいのか、今からもどう本番を進めていくのかもわからない状態で。主演はすごくうれしくもあったのですがプレッシャーのほうが大きかったです」と正直な気持ちを明かします。桜井やスタッフ、演出の福原による優しく丁寧な指導もあり、ゲネプロ直前の今は「緊張感は程よく解けながら、本番はしっかりできるかなという状態です」と笑顔を見せていました。
「座長らしくしているつもりはないですね(笑)」と取材陣を笑わせた作間。しっかりしなきゃという思いはあるものの、「そこは正直に、初めてのことなので『よろしくお願いします』っていうスタンスでいこうかなと。ちょっと足を引っ張ってしまうこともあると思うんですけれど」と苦笑いしつつ、「座長というのは、名前だけいただいている感じです」と謙虚に語ります。そんな作間に対し「とても頼もしいです!」とコメントした桜井は、作間は自分では座長らしくないと言うけれど、全然そんなことはないとも強調しました。さらに、「あまり緊張しないみたいです。私はすごく震えているのに……」との発言に作間は「いつもそんなに緊張しないんです。(本番)5分前になったらとてつもなく震え始めるかもしれないし。でも程よくは緊張しているので、やるべきことはちゃんとやりつつ、冷静にいながら楽しみたいなという持ちです」と余裕を覗かせる場面も。そんな作間の姿に桜井は「稽古のときから、その余裕をずっと感じていました」とうらやましそうに語っていました。
座長を務める上で、事務所の先輩からのアドバイスがあったのか尋ねられた作間は「びっくりするほど何もなかったです(笑)」と。事務所の先輩には会う機会がなかったことも理由だと話しつつ、「この作品の中心になる福原さんという方がいらっしゃる。いろいろな方のアドバイスを受けるよりも、福原さんが作りたいものにフォーカスを当てるべきだと思ったので」と説明し、この座組だけに集中する期間にしていたと補足しました。
稽古場への差し入れについては、「したほうがいいかなという気持ちは最初からありました。皆さんすごくこまめに差し入れをしてくれて。桜井さんも稽古場にお菓子セットみたいなものも置いてくださっていたので。そういうのを見ながら『こういうことなのか』と思いながら、たまに食べ物とか、飲み物とかを」と振り返っていました。
本作で作間は岡山弁にも挑戦しており、岡山県出身の桜井は方言指導も務めています。桜井自身も芝居で岡山弁をしゃべるのは初めてだそうで、「キャストの蛙亭・中野周平さんも岡山の方。二人でイントネーションなどを指導しながら稽古をしました」とニッコリ。イントネーションの上下があまりなく、語尾がだいたい訛るというのが特徴だと解説し、「大阪弁でのお芝居って結構難しいけれど、岡山弁はしゃべりやすいらしくみんな楽勝って感じです」と報告しました。隣で聞いていた作間は「楽勝ってことはないですけど……」とほほ笑みながら、「確かに、標準語にちょっと方言をプラスした感じ。語尾だけ『じゃが』とか『じゃろ』みたいに変わるだけ。たまに、難しい言葉もあるけれど、お二人に助けられながら指導していただきました。周りにネイティブの方がいてくれると、自分のセリフじゃなくても盗めるものがあって、かなり引っ張ってもらっています」と感謝。桜井は作間について「耳がすごくいい。本読みの時点で結構完璧に近いくらいしゃべれていたので、耳もいいし、頭もいいんだなって思いました」と飲み込みの早さを称賛していました。
稽古を振り返り「若返るような感覚がありました」と作間が話していると「若いんだよ! 実際、若いの!」と桜井の鋭いツッコミが。会見場所が笑い声に包まれる中、キャストの元気な声出しの様子が漏れ聞こえてきて「いつもあんな感じです」とニヤニヤした作間は、「時代背景もあってすごく男子校生っぽい。稽古場でも普通に仲良くなって、作品中でも楽しい感じ」とうれしそうな表情に。そして「見ている方も若返るような作品です!」と落ち着いた様子で、しっかりとおすすめしていました。
作間演じる小渕は高校の映画部に所属し、監督を務めています。「僕も映画が好きなので、昔の映画を知るきっかけにもなりました」と、映画好きが役へのアプローチにつながり、役を通してより映画を知るいい機会だったと充実感をにじませました。映画監督への興味については「そういう機会があれば、という感じはしています」と回答! 物語にちなみ“今の夢”について質問が及ぶと、「先のことがあまり考えられないタイプなので、この舞台が無事に終わればいいな、くらいかな」とマイペースに話しました。最後に「まずは、この舞台をやり切るぞという気持ちです」と意気込みを語り、取材陣から拍手を浴びながら取材会を締めくくりました。
2019年に「東京キャラバン in 岡山」で上演された、福原作・演出の短編作品「小渕と韮沢」を、“故郷”をキーワードに長編のオリジナル青春群像劇として福原自ら再構築した本作は、生易しくはない、酸っぱくても苦くても続いていく人生の物語を描いています。取材会後に行われたゲネプロでは、取材会で見せた余裕そのままに軽やかな演技で冒頭から引き込む作間。仲間とバカ騒ぎをしながらも好きな映画作りに没頭する高校生から、現実に直面する社会人までを演じます。
高校時代、周囲にあきれられるほどに映画作りに夢中な姿は、その後“裏付けのない自信”と希望を抱き上京する小渕の行動に説得力を与えています。社会人となった姿では現実とのギャップにじわじわとつぶされていく小渕の内面を繊細に表現しつつ、舞台という場所でその機微を観客の目にしっかりと焼き付けてきます。また、コミカルなシーンもしなやかな動きで心地よい笑いを提供。これが初の単独主演舞台とは思えないほど、主人公として舞台になじむ姿が印象的です。映画作りに没頭する高校時代のはじけっぷりは、実に爽快! 本作のキーワードでもある“空回り”も見事に体現しています。
また、映画がテーマにもなっている本作には、作中でたくさんの名作映画のタイトル、監督名が飛び出します。作間も取材会で話していたように、映画好きの気になる作品や監督名がズラリ。「昔の映画を知るきっかけにもなった」と話した映画好きの作間が興味を持った作品もこの中に! そんなことを思いながら舞台を見るのも楽しいかもしれません。
取材・文:タナカシノブ
撮影:古賀良郎
2024年11月23日(土・祝)~12月8日(日)
会場 東京都 本多劇場
※11月27日(水)、12月5日(木)は休演
2024年12月12日(木)~16日(月)
会場 大阪府 サンケイホールブリーゼ
スタッフ
作・演出:福原充則
製作:ニッポン放送 / プラグマックス&エンタテインメント / ノックス
企画:恒吉竹成(ノックス) / 小寺恵(ニッポン放送)
出演
作間龍斗 / 桜井日奈子 / 若林時英 / 中野周平(蛙亭) / 倉沢杏菜 / 菊池銀河 / 井上向日葵 / 相原未来 / 永島敬三 / 山口航太
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