松山ケンイチ×染谷将太のW主演！ アドリブ飛び交う撮影現場に新たな発見

神の子・イエスと仏の悟りを開いたブッダが東京・立川のアパートで二人暮らしをしながら下界でバカンスを楽しむ日々を描いたギャグ漫画「聖☆おにいさん」が福田雄一脚本＆監督で初の実写映画化！ 12月20日（金）の公開を前に、イエス役を演じる松山ケンイチさんと、ブッダ役の染谷将太さんが映画の見どころから撮影秘話まで、さらに“今の推し”についてたっぷりと語ってくれました。

演技プラス、我慢や忍耐が必要になるなんて思わなかった（笑）

――本作は、劇場映画化のために原作者・中村光さんが描いたエピソード「スクリーンへの長い途（みち）」が基になっています。お2人が感じた作品の魅力を教えてください。

松山ケンイチ　まず、西洋の神とアジアの仏が一緒に日本でバカンスするっていう設定ですよね。神の価値観と人間の価値観とのギャップがめちゃくちゃ面白いなと。そういったストーリーの面白さプラス、福田さんの現場特有の“わちゃわちゃ感”っていうんですかね、何が起こるかわからない感じ。普通さ、笑ったらNGだよね？

染谷将太　はい、笑ったらNGです！

松山　そう、NGなはずなんですよ。けれど、そのNGを福田さんはあえて使っていたりするんですよ。そういう福田さんの価値観も加わって、神々の価値観と人間の価値観に、福田さんの価値観や僕ら俳優の価値観……。いろいろな価値観があるのがすごく面白いなって思いますね。

――染谷さんはいかがですか？

染谷　そうですね、イエスとブッダの日常的な会話から始まり、 “走馬灯”を作るという、特撮ヒーロー的な展開になっていくという。もう映画がカラフルすぎて（笑）。面白い作品です。クランクインの前にアクション練習があったじゃないですか。僕、あのときに「すごい映画が始まるな」って思いました。

松山　確かに。「神様なのに何やってんだろう」って思ったもん（笑）。

染谷　はい（笑）。

松山　最初は普通に演技すればいいんだって思っていたよね？

染谷　思っていました。

松山　それがまさか、演技プラス、我慢や忍耐が必要になるなんて思わなかった（笑）。

染谷　思わなかったですね。
 

――“我慢や忍耐”とは？

松山　いろんな登場人物が出てくるんですけど、一人一人が本当に暴れるんですよ。笑いをこらえるのが大変。本当に、毎回ビックリしました。最初に出てきたのは、岩田（剛典）くんと白石（麻衣）さんだったよね？

染谷　そうでしたね。初日。

松山　2人のお芝居を見て、「今の俳優の演技ってこういう感じなんだ」ってビックリして。

染谷　現場でも言っていましたね（笑）。

松山　うん。だって、明らかに台本に書いてないことをやっているからさ（笑）。

――アドリブということですか？

染谷　はい。段取りから急に僕らが知らないことが始まるんですよ。

松山　岩田くんなんて、台本に書いてあるセリフよりも、書いていないセリフのほうが多かったよね？

染谷　多かったです。

松山　岩田くんに「それ、監督からの注文なの？」って聞いてみたけど「いや、違います」って。

染谷　それを聞いた松山さんが「え!? 今ってこうなってんの？」って（笑）。

松山　自分で考えて持ち込んでこないといけないのか、って。あれは本当に衝撃的だったんだよね。

染谷　本当ビックリしましたよね。

松山　　「田舎で野菜作っているだけじゃダメなんだ」って本当に思った。久々に東京に来たら、こんなことになっているんだって。

染谷　（笑）。

松山　福田さんが作り出す世界観っていうのは、そもそも別世界なのかな？

染谷　異次元ですよ。

松山　福田さんって本当に愛されている方なので、 みんなが「福田さんを絶対笑わせてやる！」という感じ。それをこう持ち込んできて爆発させるみたいな。本番中、福田さんの笑い声が聞こえていたもんね。

染谷　笑っていましたね。

松山　福田さんのその笑い声につられちゃったりもするんだよね。

染谷　そう。我慢できたと思ったら福田さんの笑い声につられて笑っちゃう。

松山　でも、岩田くんと白石さん全く笑わないからね。

染谷　無敵でしたね。粛々とかましていましたね。

 藤原竜也との胸アツシーンに光栄の“南無三”!?

――今お話に出たように、本作には豪華ゲストがたくさん出演されていますよね。

松山　はい。本当にみなさんすごかったんですよ。しかも、全員が全員、本当に台本を読んで想像する以上のものを持ってきていたというか……想像を超えちゃうぐらい暴れています（笑）。一緒に撮影をしていない方たちもいるので、本編を見るのが楽しみです。聞くところによると、ルシファー役の藤原竜也さんが全部持っていってるらしくて。

染谷　すごかったですよ、爆発力が。

松山　やっぱりすごいんだ。しかも、竜也さんがオールアップなんでしょ？

染谷　はい。ルシファー終わりでした。それもまたいい締めくくりですよ。

松山　竜也さんも福田さんの作品初めてなんだよね？

染谷　はい。（思い出しながら）いやぁ～、すごかった。


松山　すごかったんだ。めっちゃ楽しみ。

染谷　いろいろな出来事があって、イエスとブッダが奮闘するんだけども、なんか最後、ぶん殴られた感じです（笑）。本当にもう、ルシファーにしか見えなかった。

 

――劇中では松山さんと藤原さんといえばこれ！ という小ネタも仕込まれていましたね。

松山　あれは台本になかったよね？

染谷　なかったです。監督のひらめきで急きょ追加になったんですよね。あれは、僕もイチ観客として胸アツでしたよ。

松山　そう？

染谷　はい。そこに対して「南無三」が言えたのもうれしかったです。セリフを言いながら「この南無三、光栄だわ～」と思っていました。

松山　「南無三」最高だもんね！
 

2人共通の推しは……

――最後に、推し楽は“推し活している方を応援するメディア”ということで、お2人の今の“推し”について教えてください！

松山　Mrs. GREEN APPLEですね。

染谷　推していますよね。

松山　うん。

染谷　オレも昨日ライブに行ってきましたよ。

松山　本当？ すごくよかったよね。その話、今度じっくりしようよ。

染谷　はい！

――Mrs. GREEN APPLEを好きになったきっかけは？

松山　Spotifyのトップ50に曲がいっぱいランクインしているんですよ。それがきっかけで聴くようになって、今は、車を運転するときとか、毎日聴いていますね。「青と夏」（2018年）がすごく好きなんだけど、この曲ってもう数年前ですよね？

――リリースは2018年ですね。でも、今もずっと上位にいますよね。

松山　そうなんですよ。で、夏になるとまたランキング上位に上がってくるじゃないですか。みんな聴きたくなるから。

染谷　確かに。そうですね。

――ライブで見る生のMrs. GREEN APPLEは最高でした？

松山　（噛み締めるように）最高でした！ 携帯で動画撮りましたもん。

染谷　撮影OKでしたからね。

松山　なんであんなに声が出るんだろうって思わなかった？

染谷　すごいです。楽器でしたね。

松山　そうなんだよ。すごかったよね。映画とかドラマとかでは味わえないエンタメの力を感じて。もうすごすぎました。

――染谷さんの推しは？

染谷　えぇ～、Mrs. GREEN APPLE先に出されちゃったからなぁ……。

松山　いいよ、別に一緒に推しても（笑）。

染谷　いいですか？ 昨日見てきたばかりなので、余韻が。

松山　テンション上がったっしょ？

染谷　いや、よかったですね。歌詞がまたすごく染みたんですよね。哲学的だなと思って。

松山　うんうん。

――では、Mrs. GREEN APPLEがお2人の推しということですね。

松山・染谷　そうですね。

――Mrs. GREEN APPLEは本作の主題歌「ビターバカンス」も担当されていますよね。お2人はメンバーの皆さんと交流はあるんですか？

松山　個人的にはないんですけど、この間「ビターバカンス」のミュージックビデオに少しだけ出させてもらって。

染谷　はい。

松山　そこでね、失敗しちゃったんだよなぁ……。 

染谷　どうしたんですか？

松山　絵コンテを見て、子どもと遊べばいいんだって勘違いしていたんですよ。

染谷　それ、違う方の役じゃないですか（笑）。全然違うところ見ていたんですね？

松山　……うん。

染谷　ウソでしょ？（笑）ダンサーさんの役ですよ？

松山　あ、そうなんだ（笑）。僕はもうその役だと思っているから、子どもとどれだけ楽しめるか考えないとなって思っていたの。そうしたらまさか、歌に合わせて口を動かす技術が必要なシーンがあるなんて……。

――リップシンクのシーンがあったのですね。

松山　そう。すごい焦ったんだよね。当日、大森元貴さんも撮影現場に来てくださって。

染谷　そうそう、いらっしゃったんですよね。

松山　恥ずかしい姿を見せているなと思って、めっちゃ申し訳なかったんですよね。

染谷　まさかそんな勘違いをしていたなんて（笑）。

取材・文：鳥取えり
撮影：伊東武志
ヘアメイク：勇見勝彦（THYMON Inc.）※松山さん
スタイリスト：五十嵐 堂寿 Takahisa Igarashi ※松山さん
ヘアメイク：光野ひとみ ※染谷さん
スタイリスト：林 道雄 ※染谷さん