2024年08月30日 16時17分
インタビュー
2024年08月30日 16時17分
インタビュー
映画「マンガ家、堀マモル」主演の山下幸輝
8月30日より映画「マンガ家、堀マモル」が公開となりました。本作は、新人賞を獲って以来、スランプに陥ってしまったマンガ家・堀マモルが主人公。悩むマモルの前に、「漫画を描かせてあげる」と言って3人の幽霊が現れます。なぜ3人の幽霊は彼の前に現れたのか? マンガを描きながら、マモルが過去と向き合っていく感動の物語。
主演を務めるのは、ドラマ「君の花になる」('22年)など、注目作に多数出演している山下幸輝さん。今回は、本作の魅力のほか、憧れの大人像についてや山下さんご自身の“推し”についてもたっぷりと語ってもらいました。
――堀マモルという役柄の印象、最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。
読んでいて、僕自身のことが描かれているようでゾッとしました。特に思っている事を素直に口に出せないという点が、そのまんまですね。というのも、僕は話す前にいろいろ考えちゃうんです。「こう言ったら相手が嫌な思いをするんじゃないかな」とか「こう思っちゃうんじゃないか」とか、考えなくていい事を考えてしまう。そこがすごく似ているなと思いました。
――小さい頃から、思っている事を口に出せないタイプだったんですか?
はい。でも、はっきりと自覚するようになったのは中学生ぐらいのときですかね。「これが俺なんで」と思っていたので、悩んだりはしていませんでしたけど。むしろ、そうやって悩むようになったのは大人になってから。「ちゃんと言えたほうがいいよな」と思うようになりました。いまだに同世代にも、年上にも年下にも気を遣っちゃうことが多いので。
――中学生のときの山下さんが、“素直に口に出せる度”10%だとしたら、今は何%ぐらいになりましたか?
70%とかですかね? どう評価しても、30%は埋まらない気がしています(笑)。
――堀マモルは、スランプに陥ったマンガ家という役柄です。その点について共感したことや、気づいたことはありますか?
誰でもスランプはあるだろうなと思いました。それから、スランプになるってことは、それだけ好きなものがあるってことなんだろうなとも。何かにのめり込んだり、大好きなものがあったりするからこそ、どっかで壁にぶち当たるんだなって。そういう意味ではマモルは、多分まっすぐで、好きなものに没頭しちゃう素敵な子なんだろうなと思いましたね。
――山下さん自身は、スランプに陥った際、どのように乗り越えますか?
スランプに陥ったときは、本当に何をしてもうまくいかなくなるというか、「うまくいかなくなる」と思い込んじゃうタイプなんです。そうなったら、とにかく人に相談するようにしています。
――特によく相談する相手はいらっしゃいますか?
友達やお姉ちゃんなのですが、お芝居のスランプだったらお芝居をやっていない人に、ダンスだったらダンスとは関係のない人に話すようにしています。そうすることで、意外な角度からの答えが返ってくるし、技術的な話をする事よりも気持ちが楽になる気がするんです。
――今回の出演は、プロデューサーさんから直々のご指名だったそうですね。
はい、めちゃくちゃうれしかったです! 僕がお芝居を始めて最初に出会った映画関係の方なのですが、そのときに「いつか山下くんで、映画を撮りたい」っておっしゃっていて、それをずっと覚えていてくれたようで。まさか本当に叶えてくれるなんて、驚きました。
――実際に主演として演技をしてみて、何か言われたことはありますか?
「お芝居はすごく成長しているけど、人間は変わらないね」って言っていただけたのが、とても印象に残っています。僕のなかでもお芝居は上達しているなっていう実感があるのですが、「初めて会ったときと、人間性とか人となりが全然変わってないから、最高だよね」「目が真っ直ぐ」って言っていただけて、うれしいなと思いました。
――“人間性が変わらないように”というのは意識されているのでしょうか?
「変わらないようにしないと」とは考えていますけど、それを何か行動に移すようなことはしていないです。きっと無意識に、心の奥底に軸があるんだろうなとは思いますけどね。
――お芝居の成長はどんなときに感じるのでしょうか?
一番変わったのは、自分の作品を見られるようになったことかなと思います。お芝居を始めて最初の頃は、自分の作品を見られなかったんです。演じてはいるんですけど、自分がそこに存在しているのが恥ずかしくて(笑)。ただ、2023年の夏ぐらいから、なんとなく役として自分自身を見られるようになったんですよね。ストーリーに役がちゃんと存在しているなって。そのときに、成長を感じました。
――堀マモルのマンガ家という職業、山下さんの俳優という職業、どちらも表現するという職業ですが、似ているなと感じた点はありますか?
キャラクターを魅力的にするお仕事であるというところは似ているかなと感じています。マンガ家はその子たちを魅力的に描いてあげる。僕ら役者はいただいた役をどうにか幸せにしてあげる、魅力的に観ていただけるようにすることがミッションなので。
――山下さんは、役を魅力的にするために心がけていることはありますか?
とにかく考えるようにしていますね。理想は、撮影じゃない日も考えて、ふとしたときに頭によぎっちゃうぐらいまで、できたらいいなって。「マモル、今何してるかな」みたいに。
――山下さんの中で、ずばり“よい表現者”とは?
自分にも相手にも素直でいられる人、かなと思います。仕事においてだけではなく、趣味でも特技でもなんでもいいんですけど、素直に楽しんだり、諦めたりできる人ってうそがないなって。そういう人は何かを真っ直ぐに伝えることができるという印象があります。
――山下さん自身「目が真っ直ぐ」と言われてうれしかったとお話しされていましたが、素直な大人に憧れているのでしょうか?
そうですね。大人になっても好きなものがあったり、好きな人がいたり、挑戦している人はいいなって思います。
――山下さんの身近な方で「この人、ピュアだな」って思う人はいますか?
マネージャーさん! おもろいっすね。僕がハマっている飲み物とかご飯をまねしてくるんです。「え、同じの飲んでますやん」ってツッコんじゃいますもん(笑)。
――最後に、ぜひ今山下さんが“推し”ているものを教えてください。
推し……最近、ツボ押ししています。手のマッサージを特に! どのツボが何に効くのか、休憩中に調べて合間にやってみているんです。
――推しではなくて、“押し”なんですね(笑)。
でも、本当にマッサージにハマっています。マッサージ推しです!(笑)。あとは、「ゴールデンカムイ」が気になっています。
――マンガやアニメですか? それとも、映画ですか?
映画です! 動画配信サービスで配信開始したので見てみたら「あ、面白いかも!」って。
――どんなところが推しポイントなのでしょうか?
キャラクターがすごく魅力的ですよね。それからストーリーも面白いし、若干のコメディー要素が会話のかけ合いの中で出てくるのも絶妙で。すごくいいなと思いました。僕、普段はあまりマンガを読んだりしませんが、原作も読んでみたいと思っています。
取材・文:於ありさ
撮影:須田卓馬
©2024「マンガ家、堀マモル」製作委員会
2024年8月30日(金)公開
シンガーソングライターであるsetaが紡いだ物語から、映画、マンガ、主題歌が生まれたプロジェクト「マンガ家、堀マモル」。 スランプに陥ったマンガ家が幽霊たちとの交流を通して気付いていく、大切な人に自分の想いを伝える尊さを描く。新人賞に輝いて以来、スランプに陥っていたマンガ家・堀マモル(山下幸輝)の部屋に、ある日、幽霊の海(宇陽大輝) ・樹(斎藤汰鷹)・愛(竹原千代)が現れる。「漫画を描かせてあげる」と話す幽霊たちのそれぞれの思いを、マモルは3編の漫画に仕上げる。その経験を経て、彼は心の底にしまっていた過去と向き合っていく。
出演
山下幸輝 / 桃果 / 宇陽大輝 / 斎藤汰鷹 / 竹原千代 / 岡部たかし / 坂井真紀 / 三浦貴大 / 占部房子 / 竹中直人
スタッフ
監督:榊原有佑 / 武桜子 / 野田麗未
原作・主題歌:seta「さよなら僕ら」
エンディングテーマ:槇原敬之「うるさくて愛おしいこの世界に」
脚本:林青維
配給:NAKACHIKA PICTURES
©2024「マンガ家、堀マモル」製作委員会
2001年11月7日生まれ。大阪府出身。「高校ストリートダンス選手権 2017 決勝大会」で優勝するなど、ダンサーとして頭角を現し、2020年には「第33回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストファイナリスト」に選出される。ドラマ「君の花になる」('22年)の小野寺宝役でブレイクし、以後、話題作への出演が続く。近作の出演作に、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」('23年)、日曜劇場「アンチヒーロー」('24年)、「ビリオン×スクール」('24年)など。
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