RMの葛藤と変化の記録。人間“キム・ナムジュン”の素顔を映し出す

BTSのリーダーとして知られるRMのドキュメンタリー映画「RM: Right People, Wrong Place」が、2025年1月3日から全国公開されます。

本作は、2024年5月に発売されたRMの2nd Solo Album ‘Right Place, Wrong Person’（「RPWP」）の制作過程に約8カ月間密着したドキュメンタリー映画。監督は、J-HOPEのソロアルバム「Jack In The Box」収録曲「Arson」「MORE」のミュージックビデオ制作に参加したイ・ソクジュンが担当しています。「RPWP」 完成までの様子やRMへのインタビューが収められており、10月7日には「第29回 釜山国際映画祭」のオープンシネマ部門で招待され初公開されました。

RMが打ち明けた“正直な気持ち”、そしてアルバム制作を通して記録された変化と成長の姿とは？

RMを支え、意識を変えた“Team RM”

RMは元々、「結果よりも過程を記録することが大切」と考える性格。この映画についても、「公開するかもしれないし、しないかもしれない」という確約のない状態で、イ・ソクジュン監督に記録としての撮影を依頼したことから始まったそう。

序盤は、アルバムのプロデューサーである韓国のバンドBalming TigerのSan Yawnと「どういう音楽をやりたいのか」「どういう話をしたいのか」と話し合い、悩みつつ変化していく姿とともに、アルバムが完成していく様子が時系列順に描かれていきます。

ソロアーティストとしてのRMを描いた今作ですが、彼を支える強力な仲間たちも見どころのひとつです。

映画には、アルバム「RPWP」にもA&R（※）として参加したチャン・セフンや音楽監督のJNKYRDなど数多くのクリエイターが出演。劇中では“Team RM”たちが協力し合う姿を見ることができます。

※ A&R：「Artists and Repertoire（アーティスト・アンド・レパートリー）」の略語で、アーティストがファンを獲得するために、また長く活躍できるように、マーケティング的な視点からサポートする職種。

メインのメンバー以外にも、楽曲制作に参加している台北のバンド落日飛車の国国（guoguo）や韓国のバンドHYUKOHのオ・ヒョク、フランス＆アメリカのジャズユニットのドミ＆JD・ベック、ジャケット撮影では東京でのメイン撮影を担当した写真家の水島貴大、ロンドンのフォトグラファーであるロージー・マークス、ウォン・カーウァイの元専属フォトグラファーであるウィン・シャ、MV監督にはエミー賞・ゴールデングローブ賞受賞の韓国系アメリカ人監督イ・ソンジン、Balming Tigerや落日飛車のMVも撮っている日本の監督Pennackyなど、国境を超えて多様なクリエイターたちが参加。

そうそうたるメンバーがフットワーク軽く、しかし「客人」というよりはチームの一員としてRMが求めるクリエイションを追求していく様子が映像に収められており、本作の記録映画としての価値を高めているように感じました。

 

東京での撮影で見せた意外な一面。穏やかな時の中でこぼした本音

東京で行われた撮影風景では、街を歩いて場所を移動しながら撮影するというスタイルが、ちょっとしたロードムービーのようでもあります。他にもその場の雰囲気でセッティングするという自然な撮影スタイルは、それまでの「撮影」という体験とは少し違っていそうです。

「心身ともに穏やかだった、ただ幸せだった時間。また行きたい」と語ったRMが、撮影中に思わず「BTSを10年頑張ったら……」の後に続けた素朴なセリフは、ぜひ劇場でご確認を。

また、ラフなようでワンカットごとに気を配られた演出とビンテージな色味まで、RMの好みとムードがそのまま盛り込まれたような映像の美しさも見どころの一つでしょう。