2025年02月22日 12時00分
インタビュー
2025年02月22日 12時00分
インタビュー
「風の喜多八」としてスピード感ある殺陣に挑む中川大輔さん
「弥次さん、喜多さん」で知られ、江戸時代から読み継がれる「東海道中膝栗毛」をベースに、昭和の世話もの作品をオマージュした舞台「きたやじ オン・ザ・ロード~いざ、出立!!篇~」が、3月1日より上演されます。主人公の喜多八を演じるのは中川大輔さん。映画「大きな玉ねぎの下で」やドラマ「フォレスト」など出演作が相次ぎ、独特のソフトな存在感で注目を集めていますが、主演舞台は2回目。バディの弥次郎兵衞(牧島輝さん)と共に、波乱万丈の珍道中を繰り広げます。稽古が佳境に入ったところで直撃しました。
――「きたやじ オン・ザ・ロード」は「東海道中膝栗毛」がベースの作品ということで、稽古に入る前に日本橋から静岡の興津まで、170kmを7日かけて歩いたそうですね。
仕事の合間に歩いたので、基本的に東京に帰りながらトライしました。連続で歩けたときは途中で宿に泊まって、また次の日も歩いたりで、興津まで辿り着きました。昔の人の行程だと、1日45km以上歩くのですが、僕は1日目に45km歩いたら、次の日は筋肉痛でもう脚が動かなったです(笑)。通しで歩くのは無理だなと痛感して、昔の人の脚力は凄かったんだろうな、脚の筋肉はパンパンだったんだろうなと、いろいろ想像できました。
――車も電車もなかった時代に。
実際に歩いたからこそわかったことなので、役にどれだけ活きるかは別にしても、「これだけ歩いたんだ」と自信を持てただけでもよかったです。道すがらに撮った動画をインスタグラムに載せていて、上演の前でも後でも「あっ、ここか」と思っていただけるのではないかなと。
――道中でどんな思い出がありますか?
「東海道中膝栗毛」と同じように、僕も所々で友達と歩きました。小田原城で手裏剣体験をしたり、名物のアジフライを食べたり。気の合う友達と「歩くのが速すぎるよ!」とか言い合いをしたことも思い出深いです。きっときたやじも旅が楽しかったんだろうなと、ワクワクすることを実感できたので、この物語を演じるうえで核になると思います。
――中川さんは舞台に関しては、昨年の「鴨川ホルモー、ワンスモア」が初主演でした。映像作品にはない感触もありました?
前回も今回も喜劇で、お客さんの反応はすごく気になります。その場で笑い声が聞こえてくることは、舞台ならではでうれしくて。おかげで僕らは毎日楽しく公演ができました。思いがけないところで笑いが起きたり、その間(ま)も含め、お客さんと一緒に一つの作品が作られていく感覚は、映像作品とは違うなと思いました。
――お客さんの前で生で演じることに、緊張感はありませんでした?
本番に対する緊張感はまったくなかったです。稽古を2カ月やって自信もあったので、安心して挑めました。今回もそうなれるといいなと思っています。最初はどうなるのか不安が多かったんですけど、稽古で全シーンをひと通り確認できてからは、体にセリフも振りもなじんできて楽しくなりました。
――稽古で時間をかけて役を練り上げていくのも、合っていますか?
僕にはすごく向いていると思います。一つ一つのシーンを納得するまで突き詰めていく作業は、すごく面白いです。
――今回も主演ですが、座長としての意識も身に付きました?
僕は「引っ張っていくぞ!」というタイプではないので……。今まで出演してきた作品で、いろいろな座長の方々の姿を見てきて。事務所の先輩だと唐沢(寿明)さんや天海(祐希)さんのような引っ張っていくリーダー像の方もいらっしゃれば、周りを受け止めてくれるような方もいました。僕はどちらというと性格的に後者だと思うので、緊張をほぐしたり、空気を柔らかくすることに目を向けられたらと考えています。
――そういう形での座長は、今回もまっとうしているんですね。
最初のほうは殺陣に歌に踊りとやることが多すぎて、座長としてどうするかまで気が回っていませんでした。でもこの前、演出家のウォーリー(木下)さんと話したときに、「稽古場に中川くんの柔らかい感じが流れていて、いいと思う」と言ってくださってうれしかったです。
――そんな中川さんの座長ぶりは、何となく目に浮かびます。
あと、僕がよく稽古場でドーナツを食べているのを見て、いろいろな方が毎日ドーナツを買ってきてくれます(笑)。今回は大人の方が多くて、僕が支えられている状況で、本当にありがたいです。
――「きたやじ オン・ザ・ロード」の台本を読ませていただきましたが、すごく面白いですね。男の子が特に好きそうな感じというか。
僕も少年マンガを読んでいるような感じがしました。ここまでガツンと突き抜けて楽しい物語は珍しくて、今のご時世に求められている気もしていて。明るくて爽快。お客さんは難しいことを考えず、ただただ楽しい時間を過ごせる舞台になると思います。
――中川さんが演じる喜多八も強くて人情味があって、魅力的なキャラクターですね。
演じていて一番いいなと思うのは、お金を全然持ってなくて家もありませんけど、江戸っ子らしく何も心配せず生きているところです。こんなふうに生きられたら、人生楽しいだろうなと。あと、好きなことをなんでもやっていいんだと、僕自身も思わせてもらっているので、それをお客さんにも伝えたいです。
――入りやすい役でもありますか?
稽古を重ねていくうちに、当初よりアホな役になっています(笑)。意識はしてなかったんですけど、たぶん脚本の喜多八に僕の素が入って、能天気なキャラクターになったのかなと。弥次郎兵衛役の牧島さんが他の舞台の本番で稽古に参加できなかったとき、代役で入ってくださった俳優さんに「脚本からは想像してなかったお芝居を、中川さんがやってくれて楽しかった」と言ってもらえました。
――公開稽古では弥次郎兵衛との再会シーンがすごくハイテンションでしたが、自然に高まったんですか?
牧島さんのテンションがものすごく高くて、引っ張られるように僕もどんどん高くなりました。5年ぶりの再会ということも印象付けたくて、作品の中でトップレベルにテンションが上がっているシーンになればいいなと思って演じています。
2025年3月1日(土)~16日(日)
会場 東京都 日本青年館ホール
※3月4日(火)、3月10日(月)は休演
2025年3月21日(金)~23日(日)
会場 大阪府 SkyシアターMBS
江戸時代後期から読み継がれ、「弥次さん」「喜多さん」でおなじみの「東海道中膝栗毛」をベースに、昭和の世話物作品をオマージュした音楽劇。主演・喜多八を中川大輔、バディ役・弥次郎兵衞を牧島輝が務める。ヴィレッヂのプロデューサーが立ち上げた“浅まる企画”の第1弾作品。
スタッフ
作:シライケイタ
潤色・演出:ウォーリー木下
出演
中川大輔 / 牧島輝 / 浅川梨奈 / 尾上寛之 / 和田雅成 / 秋山菜津子 / 山本亨ほか
1998年1月5日生まれ、東京都出身。2016年に「MEN’S NON-NO」のモデルオーディションでグランプリ。2019年にドラマ「俺のスカート、どこ行った?」で初レギュラー。主な出演作はドラマ「仮面ライダーゼロワン」('19年)、「花嫁未満エスケープ」('22年ほか)、「モアザンワーズ/More Than Words」('22年)、「パティスリーMON」('24年)、舞台「鴨川ホルモー、ワンスモア」('24年)など。映画「大きな玉ねぎの下で」が公開中。ドラマ「フォレスト」(ABCテレビ・テレビ朝日系)、「東京サラダボウル」(NHK総合)に出演中。
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