2025年03月03日 17時00分
インタビュー
2025年03月03日 17時00分
インタビュー
宝塚退団10年で、待望の共演を果たす柚希礼音さん(左)と夢咲ねねさん(右)
——お二人が役者同士として共演される「ホリデイ・イン」は、宝塚時代からのファンの方にとっても特別な作品になると思います。今日の撮影でもお二人の仲睦まじさが伝わってきましたが、6年間をトップコンビとして過ごし、退団後も交流が続いているからこそ、お互いにしか見せられない姿があるのでしょうか?
柚希 そうですね。確かにそれはあるかもしれない。あれだけ長いこと2人で組んでると、いろんな顔を見てきましたからね。何かを我慢してたり、それこそ、もう生きるか死ぬかくらい切羽詰まってたり(笑)。最近はそこまでの顔は見ていないけどね。
夢咲 やっぱり宝塚のときみたいな、追い込んで、追い込まれてみたいなことはなかなかないですよね(笑)。
柚希 その状態で毎日何時間も目を合わせていたので、本当にいろんな顔を見てきましたね。それはお客さまからも見えていたのかな? でも、お客さまも真正面からは見ないものね。
夢咲 確かに。しかもあんな近くで!
柚希 そうですよ。夫婦でもあんなに長時間お互いの顔を見てないと思います。だから顔を見れば考えていることが結構わかる。それは「RUNWAY」(※2)でもそうでしたね。私が「こうしたほうがいいよ」って言ったことは、ねねがずーっと気をつけてやっていたりね。そういうのも全部空気で感じてました。
※2 2024年12月、宝塚歌劇団公演100周年のときのトップスターが再集結し、大阪・東京で開催されたエンターテインメントショー
——今回の共演で、お互いの“新しい顔”も見られそうですか?
柚希 「RUNWAY」のときはなんとなく相手役みたいな雰囲気だったけど、今回は女性と女性だから。こういうふうにしなくていいからね(と、柚希さんを見つめる夢咲さんのまね)。
夢咲 わかんないです。稽古場でやっちゃうかも(笑)。
柚希 きゃぴ♡ みたいな(笑)。ダメでしょ(笑)?
夢咲 ダメですか? でも無意識に出ちゃうから、私。
柚希 それか思いっきりオフになるか、どっちか(笑)。
夢咲 すみません(笑)。でも宝塚では6年間、ずっと稽古場でちえさんが役を深めていく姿を見てましたけど、退団から10年経ってまた、ちえさんがどうリンダを深めていかれるのかなってところは、すごく楽しみです。
柚希 確かに私も、ねねが役に没頭するときの感じが楽しみ。「おっ、ライラになった!」みたいな。組んでいたときは、ねねが役に入る瞬間がすごくわかったんですよ。そうなるのはいつも私のほうが後で、ねねが先にその役っぽくなるんです。
夢咲 いやいやいやいや! ちえさんがもうできあがってらっしゃるから、私はいつも必死でもがいてましたよ。
柚希 そうなの? なんか自分的には「まだちょっとわからないな」ってときに、ねねがもうその役で来てくれるから、「お~!」ってなってたよ。
——公演を楽しみにされている方が多くいらっしゃると思います。そんな方々にメッセージをお願いします。
柚希 素晴らしい音楽と、すごくかわいらしいストーリーに、ショー要素もたっぷりある見応えのある作品です。新たな振付も素晴らしいはずですし、きっと最高のミュージカルになると思いますので、ぜひ皆さんに見てほしいです。
夢咲 私はミュージカルでオーバーチュア(※3)から始まるものが好きなのですが、今回は生オーケストラによるオーバーチュアで、プロローグもノリノリの曲なので、そこでもう「ホリデイ・イン」の世界に引き込まれると思います。そこからショーナンバーが続きますし、その中でそれぞれのキャラクターが濃く描かれていて、一人一人のストーリーや人生に共感したり、いろんなドラマを楽しめると思います。終始ハッピーな作品なので、ハッピーを感じたいなという方は、ぜひぜひ何度でも劇場にお越しいただけたらうれしいです。
※3 幕が上がる前に演奏される曲
——作品タイトルの「ホリデイ・イン」にちなんで、お二人の理想のホリデイの過ごし方を教えてくださいますか?
柚希 私はハワイが好きなんですけれどもね……。あの風景を見るだけでも癒やされるんです。あ、「ホリデイ」って映画知ってる?
夢咲 知ってます!
柚希 ロサンゼルスのバリバリのキャリアウーマンが、ヨーロッパの田舎に住む人と入れ替わって、2週間知らない人の家で暮らすんです。最初は何もかもいやだけど、だんだん田舎暮らしがよくなってくるストーリーなんですけど、それがすごく面白そうで。
夢咲 キャメロン・ディアスさんが主演ですよね。
柚希 そう! そこでジュード・ロウさんと出会うのが最高で! なんか休みになるといつもハワイに行っちゃうから、そうやって全然知らない場所で過ごすホリデイはやってみたいですね。
夢咲 私はなんだろう。やっぱり旅行かな。でもとことん家に引きこもるのもいいし……。
柚希 とことん引きこもるのやってみたい! でもコロナ禍のとき、結構やったよ?
夢咲 そうですね。でもそれが私、全然苦じゃなくて。
柚希 私も! むしろ、ゆっくり家で過ごすことができたとちょっと思った(笑)。いろいろ大変だったけど、家でゆっくりするのもいいなって感じた人もきっと多かったと思う。
夢咲 はい。私はやっぱり家に引きこもっているときが、いちばんオフになれるというか、いろいろとらわれているものからリセットできるような気がします。それがホリデイに向いてる過ごし方かは、ちょっとわからないですけど。あと私、「ソロ活女子のススメ」ってドラマにハマってて。
柚希 あ、それの影響で「RUNWAY」の大阪公演中に、セルフたこ焼き屋さん行ったよね。
夢咲 そうなんです! (主演の江口のりこさんが)本当に一人でいろんなところに行って、ナレーションも一人でやってるんですけど、すごい楽しそうなんですよ。だからソロ活するホリデイもいいなと思います。
——最後に、「推し楽」は「推し活するあなたを“推す”メディア」なので、お二人の最近の“推し”を教えてください。
柚希 礼真琴さんのことは“推し”だよね?
夢咲 はい! ちえさんと私はもう完全に(礼真琴さんが)“推し”です!
柚希 “推し”です。
夢咲 武道館、すごかったです!(※4)
柚希 「星を継ぐ者」のとき、もう一番に声をあげてね。
夢咲 それはもう! 「待ってました!」と。「ここでやるのか!」みたいな。
柚希 次の日、私、WOWOWのコメント録りだったのに少し声枯れてたもん(笑)。
夢咲 あのときは「次の日もう声が枯れてもいい!」と思ってましたよね(笑)。
柚希 うん、先のことなど考えずに。なので、私達の“推し”は礼真琴さんですね。卒業するその日まで推し続けます。
夢咲 応援してます!
※4 今年1月に行われた、宝塚歌劇団星組トップスター・礼真琴さんの武道館単独コンサート「ANTHEM」のこと
取材・文:齋藤春子
撮影:興梠真穂
ヘアメイク:佐藤エイコ(ilumini.) /柚希、山本絵里子/夢咲
スタイリスト:間山雄紀(M0)/柚希
6月11日生まれ。大阪府出身。1999年、85期生として宝塚歌劇団に入団。2009年に星組トップスターに就任。6年にわたりトップを努め、第30回松尾芸能賞新人賞、第65回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、第37回菊田一夫演劇賞を受賞。2015年5月に退団後は、「ビリー・エリオット ~リトル・ダンサー~」('17年、'20年)、「ボディガード」('20年、'22年)、「カム フロム アウェイ」('24年)など数々のミージュカル、ソロコンサート「REON JACK」などで精力的に活躍。2025年1月には初のシャンソンアルバム「Les Nouvelles Chansons」をリリース。2025年10月~11月には、再再演となるミュージカル「マタ・ハリ」にマタ・ハリ役としての主演(Wキャスト)が決定している。
7月4日生まれ。富山県出身。2003年に89期生として宝塚歌劇団に入団。2009年に星組トップ娘役に就任。柚希礼音と共に6年にわたりトップコンビを努め、2015年5月に退団。退団後はミュージカルを中心に多数の舞台、映像作品に出演しており、主な出演作に「1789-バスティーユの恋人たち-」('16年、'18年)、「ラブ・ネバー・ダイ」('19年)、「ポーの一族」('21)、「夜来香ラプソディ」('22年)、「東京ラブストーリー」('22年)、「赤と黒」('23年)、「ファインディング・ネバーランド」('23年)、「モダン・ミリー」、「庭の見える部屋と四つの物語」(共に'24年)などがある。
主人公のジムはショー・ビジネスから引退し、コネチカットで農業を営む暮らしを決意。ところが恋人のライラは夢を諦めきれず、ジムと別れて彼の親友でパフォーマーのテッドと共にショーを続けることに。そんなときジムは才能豊かなリンダと出会い、人生が一変していく──。ジム、リンダ、テッド、ライラの4人の愛と夢が交錯する物語の行方はいかに?
本作はビング・クロスビー&フレッド・アステア主演の映画「Holiday Inn」(1942年・邦題「スウィング・ホテル」)をもとに、2014年にコネチカットで舞台化されたミュージカル作品。ハリウッドを代表する映画音楽家アーヴィング・バーリンによる「White Christmas」をはじめ、時代を超えて愛される名曲と華やかなレビューシーンが満載。演出・振付を務めるビル・ディーマーと坂本昌行は、2018年上演「TOP HAT」に続いて二度目のタッグとなる。
会場 東京都 東急シアターオーブ
2025年4月1日(火)~16日(水)
※4月7日(月)、4月14日(月)、4月15日(火)は休演日
会場:大阪府 SkyシアターMBS
2025年4月22日(火)~5月1日(木)
※4月28日(月)、4月29日(火)は休演日
スタッフ
音楽:アーヴィング・バーリン
脚本:ゴードン・グリーンバーグ、チャド・ホッジ
演出・振付:ビル・ディーマー
演出補・振付補:アシュリー・グラハム
翻訳・訳詞:高橋亜子
出演
坂本昌行 / 増田貴久 / 柚希礼音 / 夢咲ねね / 保坂知寿 ほか
「ホリデイ・イン」メインビジュアル
112
この記事はいかがでしたか?
1記事10回までリアクションできます
RECOMMENDED TAGS
REAL TIME RANKING
CHEER RANKING