2025年03月18日 18時00分
インタビュー
2025年03月18日 18時00分
インタビュー
舞台への意気込みや、表現者としてのこだわりを語ってくれた加藤シゲアキさん
世界的に有名な戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」の制作秘話を、抱腹絶倒のドタバタ劇で描く舞台「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」が、4月7日から再演されます。主人公の劇作家・エドモンを演じるのは、初演から引き続きNEWSの加藤シゲアキさん。「とにかく大変だった」と語る初演の思い出や再演にかける思いをインタビューしました。また、エドモンと同じく創作活動を行う加藤さんならではの視点についても語っていただきました。
――主演舞台「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」が2年ぶりに再演されますが、初演を振り返って何か思い出すことはありますか?
大変だったことが一番の思い出です(笑)。演出家のマキノノゾミさんが、フランスで上演されたものの立ち位置や動きを再現したいということで、それを覚えるだけでも一苦労でした。一人が何役も演じますし、転換も自分たちでやらなければいけなくて、だからこそチームワークというか、強い一体感が生まれて。なんだか、部活みたいな感じでした。
――確かにキャストもスタッフも、全員の息が合わないと実現できない演出も多いですよね。
まるで運動会みたいでした。ただ、運動会は年に1回でしょ? あれを毎日やるんだから、それは大変ですよ……。ただ、見に来てくれた方には「笑った」「楽しかった」と言ってもらえました。芝居への情熱という意味でも、実際に役者が動き回るという物理的な意味でも、熱気にあふれた作品なので、その熱が伝わって人の心を動かしたんじゃないかなと思います。
――ちなみに、本番中に何かハプニングはありましたか?
正直、覚えてないんです。すごく大変だったのは確かなんですけど、頭の中ではたった数日間の出来事みたいになっています。たぶん、辛かったから勝手に記憶を改ざんしているんでしょうね(笑)。僕は楽観的だから、大変だったこととか自分の失敗を忘れることができるタイプなんです。だからこそ保守的にならずに、攻めていけるんだと思うんですけど。
――もしかしたら詳細を忘れているからこそ、再演にも前向きに臨めるのかもしれませんね。
いや、違いますよ! だって再演の話が出たのは、初演の本番中だったから。すごく大変なときに「また2年後やりませんか?」と言われて、正直「マジか……」と思いました(笑)。でも結局引き受けたのは、何より楽しかったからなんですよね。カンパニーの方々も「またやりたい!」と口々に言ってくれて。僕だけじゃなくて、みんなが楽しんでくれていたんです。そんな作品なかなかないじゃないですか。僕じゃない人が演じるエドモンを見てみたい気もしたんですけど、「ぜひ加藤さんで」と言ってもらえるなら、また頑張ってみようかなと思いました。
――そんな再演がいよいよ迫ってきていますが、どんなお気持ちですか?
ついに来ちゃったなという気持ちです。しかも今回、初演のときより回数が多いんですよ! 2都市も増えてるし! 僕、5回くらい数え直しましたから。あの大変な姿を横で見ていたはずなのに、パルコ・プロデュースって“ドS”なんですね(笑)。ただ、これもうれしい悲鳴だと、自分に言い聞かせています!
――大変な舞台を乗り越えたら、ご自身に何かご褒美をあげてもいいのでは?
確かに。今回ばかりは、ご褒美を決めておいたほうがいいかもしれない。うん、この舞台が終わったら、海外旅行に行きます!
――加藤さんが演じられるエドモンは、スランプに陥り2年間何も書けていない状態ですが、初演のときに、ご自身とは共通点がないと話してらっしゃいました。
お互い作家ということで、似ている部分があるんじゃないかと思ってくださる方も多いみたいですけど、僕には「書けない」という経験がないので……。すみません、天才みたいなこと言っちゃって(笑)。でも、まったく違う人だからこそ演じやすかったし、面白かったです。エドモンは書けないし、それを人のせいにするし、逃げ癖もあるんですけど、そういう人間味あふれるところが魅力的だと思います。
――再演までの2年間にも、スランプに陥ったりは……?
ないですね(笑)。もちろん、小さなハプニングはたくさんありました。企画がボツになったり、途中で難航しているプロジェクトもありますし。でも、やっぱり僕は楽観的なんでしょうね。とくに気に病むことはないです。
――役作りはどんなことをされたのでしょうか?
この作品は演劇にも映画にもなっているので、ある意味“正解”がすでにあるんですよ。だからこそ、とにかく必死にやるということが一番の役作りだと思っていました。加藤シゲアキ“らしさ”は自然とにじみ出てしまうでしょうし。
――演じていて難しい部分はありませんでしたか?
言葉遣いですね。そもそも翻訳劇ということもありますし、エドモンが1897年当時でも「50年古い」と言われていたような作家なので、セリフが口語というより文語なんです。それを演劇でやるのは、なかなか難しかったです。でも難しいものを、そう見えないように届けられたら大成功だと思うので、今回も頑張りたいと思います。
――加藤さんが悩まないのは、マイナスなことでもご自身の糧にできるからなんでしょうか?
うまくいかないことってどんな仕事にもあると思いますけど、乗り越え方は決まってるじゃないですか。自分が変わるか、周りを変えるか、思い切って止めるか。その中で、どの選択をするかでしかないと思っているので、悩まないんですよね。もちろん、自分でジャッジできない状況のときは、ストレスも感じますけど。僕はエドモンのように苦しんで暴れまわったりはしません(笑)。
会場 東京都 PARCO劇場
2025年4月7日(月)~30日(水)
※4月10日(木)、4月15日(火)、4月22日(火)、4月28日(月)は休演
会場 大阪府 東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
2025年5月9日(金)、10日(土)
会場 福岡県 福岡市民ホール 大ホール
2025年5月17日(土)、18日(日)
会場 愛知県 豊田市民文化会館 大ホール
2025年5月24日(土)
スタッフ
作:アレクシス・ミシャリク
上演台本・演出:マキノノゾミ
出演
加藤シゲアキ / 村田雄浩 / 瀧七海 / 細田善彦 / 福田転球 / 三上市朗 / 土屋佑壱 / 枝元萌 / 佐藤みゆき / 阿岐之将一 / 堀部圭亮 / 安蘭けい
「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」ビジュアル
1987年7月11日生まれ。大阪府出身。NEWSのメンバーとして活躍しながら、2012年に「ピンクとグレー」で作家デビュー。「オルタネート」で吉川英治文学新人賞、高校生直木賞を受賞。同作と「なれのはて」で直木賞候補に。2022年には舞台「染、色」の脚本で岸田國士戯曲賞候補にも選ばれた。そのほかの作品に、エッセイ集「できることならスティードで」、能登半島地震支援チャリティ小説企画「あえのがたり」など。雑誌「anan」の連載に大幅に加筆・修正した、最新刊「ミアキス・シンフォニー」も発売中。短編映画プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS Season7」の「SUNA」ではAぇ! groupの正門良規を主演に迎え、自身も主演、監督を務めている。
518
この記事はいかがでしたか?
1記事10回までリアクションできます
2025/03/30
LIL LEAGUEの魅力満載! 初のアーティストブック「More」で広がるファンとの絆
2025/03/29
デビュー1年半のTHE JET BOY BANGERZ。育んだグループの絆と変化
2025/03/29
THE JET BOY BANGERZが語る1stアルバム「JET BOY」 “最高難易度”のダンスで得た学び
2025/03/27
異色の友情がアニメに!「カラオケ行こ!」堀江瞬が語るメディアミックスの魅力
2025/03/26
“完全体”ONE PACTのケミがさく裂!「メンバーを家族に例えると…」
RECOMMENDED TAGS
REAL TIME RANKING
CHEER RANKING