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加藤シゲアキ「エドモン」再演で先達へのリスペクト。「真に美しいものは時を超える」

2025年03月18日 18時00分

インタビュー

舞台への意気込みや、表現者としてのこだわりを語ってくれた加藤シゲアキさん

舞台への意気込みや、表現者としてのこだわりを語ってくれた加藤シゲアキさん

舞台は“なまもの”。お客さまと僕たちだけしか目撃者になれない

――加藤さんは、アイドルや役者としてはもちろん、小説家や演出家、映画監督など、さまざまな表現活動をされています。その中で“舞台”というものは、どんな意味を持っていますか?

“なまもの”ということが大きいです。同じ公演は二つとないし、その場に来てくれたお客さまと僕たちだけしか目撃者になれない。そのはかなさに価値があるし、体温を感じるというのも僕が舞台を好きな理由です。それに、一つの作品を何カ月もかけて深めることができるのは舞台しかないので、役者冥利に尽きる仕事だと思います。

――ちなみに、ご自身が舞台を見るときは、どんなことを考えていらっしゃいますか? 加藤さんには役者だけでなく、脚本家に演出家といろいろな視点があるので気になります。

確かに全部を見てるかも。役者さんがいい演技をしたらすごいと思うけど、同時に演出家はどうやってこの芝居を引き出したんだろうとも考えます。脚本についても、どこからアイデアが生まれたんだろうとか。「簡単そうに見えるけど、これって奇跡みたいなシーンだよな」と思うこともありますし。もちろん批評しようとしているわけではなくて、純粋に楽しんでるんですよ。でも、いい舞台ほどいろいろと考えさせられるんです。せっかくお金を払ってるんだから、何かしら持って帰りたいという気持ちもありますし(笑)。

――先日、新刊「ミアキス・シンフォニー」も発売されましたが、加藤さんが小説を書くときに、アイデアの源泉となっているものは何でしょうか?

それこそ最近は、エドモンと同じく日常の中から何かを得ることが多いです。人との会話だったり、たまたま立ち寄った場所で見た景色だったり。海外旅行のエピソードなんかも「何それ!」と思うことがあります。だから、アイデアの種はどこにでも転がっているんだと思います。

――加藤さんが表現者だからこそ、感じられることですね。

現代も、ショート動画とかライブ配信とか、表現の方法が次々と変化していて、映像作品も演劇も、苦しい思いをしているところはありますよね。その流れは小説にも感じていて。出版社も書店も減っているなかで、小説にしかない魅力を伝えていかないといけないと強く思っています。僕がチャリティー小説を出したのも、そんな思いからです。小説という文化が消滅することはなくても、レコードみたいな存在になってしまうんじゃないかと。それはそれで、すてきなのかもしれないですけど、やっぱり、なるべく多くの人に小説の魅力を知ってもらいたいです。それを知れば知るほど、人生は楽しくなると思うから。

――最後に、加藤さんが演じながら感じた、舞台「エドモン」の世界の魅力を教えてください。

僕が特に好きなのは、エドモンが普遍的に美しいものを描こうとしたこと。当時も時代遅れの作家だと言われていたみたいですけど、真に美しいものは時を超えるんですよね。もともと悲劇として描かれていた「シラノ・ド・ベルジュラック」が、喜劇として翻案されたりしながらも、エドモンが信じた美しさは現代にも変わらずに残っていますから。時代がめまぐるしく移り変わっていく中で、それでも人間には普遍的な部分があるんだと思います。

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取材・文:近藤世菜
撮影:夛留見彩
ヘアメイク:KEIKO(sublimation)
スタイリスト:吉田幸弘
衣装協力:クルニ(クルニ フラッグシップ ストア)、ナンバーナイン(ナンバーナイン)、そのほかスタイリスト私物

パルコ・プロデュース2025「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」

会場 東京都 PARCO劇場

2025年4月7日(月)~30日(水)

※4月10日(木)、4月15日(火)、4月22日(火)、4月28日(月)は休演

 

会場 大阪府 東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール

2025年5月9日(金)、10日(土)

 

会場 福岡県 福岡市民ホール 大ホール

2025年5月17日(土)、18日(日)

 

会場 愛知県 豊田市民文化会館 大ホール

2025年5月24日(土)

 

スタッフ

作:アレクシス・ミシャリク

上演台本・演出:マキノノゾミ

 

出演

加藤シゲアキ / 村田雄浩 / 瀧七海 / 細田善彦 / 福田転球 / 三上市朗 / 土屋佑壱 / 枝元萌 / 佐藤みゆき / 阿岐之将一 / 堀部圭亮 / 安蘭けい

 

エドモン | PARCO STAGE -パルコステージ-
パルコ・プロデュース2025「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」

「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」ビジュアル

加藤シゲアキ(Shigeaki Kato)

1987年7月11日生まれ。大阪府出身。NEWSのメンバーとして活躍しながら、2012年に「ピンクとグレー」で作家デビュー。「オルタネート」で吉川英治文学新人賞、高校生直木賞を受賞。同作と「なれのはて」で直木賞候補に。2022年には舞台「染、色」の脚本で岸田國士戯曲賞候補にも選ばれた。そのほかの作品に、エッセイ集「できることならスティードで」、能登半島地震支援チャリティ小説企画「あえのがたり」など。雑誌「anan」の連載に大幅に加筆・修正した、最新刊「ミアキス・シンフォニー」も発売中。短編映画プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS Season7」の「SUNA」ではAぇ! groupの正門良規を主演に迎え、自身も主演、監督を務めている。

 

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