NANIMONO 全員“陰キャ”の7人がアイドル活動をする理由

加入した第一印象は「壁に張り付いた6人」

――ねるさんが1年前に加入したときは、みんな普通にしゃべっていたんですか？

輪廻　しゃべってました。でも、初めて顔合わせをしたとき、一人でメンバーがいる部屋に入ったんですね。パッとドアを開けたら誰もいなくて、「どういうこと？」と見渡したら、全員が部屋の角にビターッと張り付いていたんです（笑）。

ひなた　どうやって迎え入れるか、めっちゃ話し合ったんです。立つか座るかも迷って。

輪廻　その結果がアレ（笑）？

ひなた　そう。どこにいるんだろう、という（笑）。

輪廻　すぐ「おいで」って輪に入れてくれましたけど、第一印象は壁に張り付いた6人（笑）。本当に陰キャなんだとビックリしました。

遊乃　ヲユ的にはねるが一番変わったと思う。最初は一匹狼でいるつもりなんだろうなという感じだったんです（笑）。仕事は仕事。メンバーと仲良くなる気もない、みたいな。

輪廻　ゆまちゃんと近かったかも。

遊乃　二人ともうそはつけないから、そういうのが態度に出ちゃって、初期は壁がありました。

輪廻　後から一人で入ったので、ちょっと引け目を感じて、壁を作っていた部分はあります。でも、メンバーがいち早く気づいて、毎日のように「ごはんに行こう」と誘ってくれたり。気づいたら仲良くなっていた感じです。

輪廻ねる（りんね・ねる）　

「私が食べるよ」が魔法の言葉です

――メンバーの言動に驚いたことはありませんでした？

輪廻　私が入ったときは、ヲユちゃんに通訳がいました（笑）。

ひなた　ぷりんちゃんの魔法の言葉が「私が食べるよ」なんです。お店で「こんなに食べられるかな」と言っていると、「大丈夫。余ったら私が食べる」と。

眠岸　私からしたら、いろいろなものを食べられてハッピーです（笑）。

――本当に今は楽しく活動できているんですね。

紫苑　みんなだいぶ明るくなったし、“陰キャ”をポジティブに変換できるようになりましたけど、いまだにちょっと衣装を脱いだら、戻ってしまいます。根っこは閉じこもっていた子たちなので、街に出たりすると、髪色が紫、青、ピンクとか派手な見た目なのに、一瞬見えなくなることがあります（笑）。

47　人に見られたくもないもんね。

紫苑　オフでは影がすごく薄い。しばらく前のライブでマネージャーすら、全員そろっているか確認してくれたとき、メンバーがいるのに気づかなかったことがあって（笑）。それから点呼をするようになりました。

柊真　目の前にいるのに探されたりするから、困りますね（笑）。オフになったら、みんな陰キャだけど、スイッチはちゃんと入れられるようになった感じです。

「みんなコンプレックスはあるから大丈夫」と伝えられたら

――NANIMONOは“陰キャ”に寄り添う曲を歌っていますが、2ndアルバム「INTERNET MAGICAL GIRL」で皆さん自身に刺さる曲はありますか？

柊真　表題曲の「INTERNET MAGICAL GIRL」は今のNANIMONOの顔になる曲です。一見ネガティブな歌詞もありますけど、私たちとリンクしているところが多くて。魔法少女に憧れた女の子の話で、今はなれないかもしれないけど、前向きに聴いてもらえたら。

――「キミを笑顔にできるかな」という歌詞もありますが、できているんじゃないですか？ 

ひなた　できていると思います。この曲って「諦めなければ夢は結構かなうでしょう」と言っているので、私たちも歌を通して体現したいです。何者かになろうと思って、今は魔法少女をやっていて、会う人をどんどん笑顔にしていきます。

紫苑　私が特に刺さったのは「顔面コンプ期」です。NANIMONOに入って初めてのオチサビで思い入れがあるのと、お顔にコンプレックスがある子の歌詞なんですね。私自身もそうで、化粧が濃くなりがち。ギャルということでごまかしています（笑）。今の女の子たちは整形や美容アカウントをめっちゃ調べていて、NANIMONOのファン層は女の子が半分くらいなんです。だからこそ、「大丈夫だよ。みんなコンプレックスは抱えているから、一緒に努力して、かわいくなろうね」と伝わればいいなと思っています。

ネガティブな感情を否定しなくてもいい

――そうなんですね。皆さんは「あの子の顔になりたい」と言われることも多いのでは……？ 自分を「かわいくない」と思うこともありますか？

眠岸　とっても思います。

輪廻　自分たちの心の叫び。胸の内を見られたかと思うくらい、代弁してくれています。本当にこの通りのことを、みんなたぶん思っていますね。

遊乃　りんちゃんは女の子にアピールしてましたけど、ヲユはそれだけではないと思っていて。今の時代、LGBTQとかいろいろあって、かわいくなりたくて美容に気を使っているのは、女の子に限りませんよね。男の子にも女の子にも、どっちでもない人にも、全人類に向けて歌っているつもりです。

輪廻　わかる。

遊乃　アイドルはあまりネガティブなことを言ったらいけないイメージがありますけど、あえてキラキラのアイドル衣装を着た自分たちが歌って、いろいろな人を元気づけたい。ネガティブな感情を否定しなくていいんだよと、伝えられる曲です。アイドルをやっているときには思わないようにしていることですけど、自分たちに当てはまることしか書かれていません。

柊真　アイドルはかわいくなろうと努力している子しかいないんです。だからこそ、「あの子はかわいくなっているのに」と悩むし、壁にぶち当たってしまいます。ライブではアイドル目線というより、一個人としての気持ちで歌っています。

2年で早口な語りのプロになりました

――レコーディングで苦戦した曲もありました？

ひなた　「After CInDErella」一択ですね。出だしを私が歌っていて「語り掛けるように」と言われて。音程を付けないで語り掛けると訛ってしまって、「イルミネーション」が言えなかったんです（笑）。スタジオのブースで歌っているときって、外の声は聞こえないんですけど、ここを録っていたら、（プロデューサーの）こゆびちゃんたちの笑い声がすごく聞こえてきて（笑）。終わって出たら、メンバーが待っている部屋でも、ヲユとミフユがめっちゃ笑っていて、「すごく訛ってた」と言われました。何とかギリギリOKが出ましたけど、ライブが怖いです（笑）。

――NANIMONOの曲は早口のパートも多いですが、もう慣れました？

柊真　今も結構苦戦はしています。

眠岸　だいぶできるようになったとは思います。最初の曲とか今考えたらそんなに早口ではないのに、すごくつまづいて、レコーディングを何回もやり直しました。でも、2年間、早口の曲をいっぱい歌ってきたので、最近は自然とできるようになりました。ねるはまだ噛んでいるよね（笑）。

輪廻　ごめんなさーい！ まだ修業中です（笑）。

47　私はめっちゃうまくなったと思います。早口なら任せろ！ くらいにイケてます。「オタ恋」の語りの「その可愛さ世界に誇るべきコンテンツ」が初めは言えなかったんですけど、レコーディングのときは一発OKでした。ライブをしていくたびにうまくなり過ぎて、もうヤバい！ プロになりました（笑）。

――最後に、さっき出た「After CInDErella」はクリスマスの曲ですが、陰キャとしては当日はどう過ごすんですか？

輪廻　メンバーといるか、ライブをしているか。

眠岸　去年は「陰キャだから外に出たくない」という理由で、ライブはナシでした。結局はメンバーといました。

遊乃　おととしは配信していたね。

――イルミネーションを見に行ったりはしないと。

遊乃　光を見に行く意味が自分にはわからなくて（笑）。

柊真　「After CInDErella」は「INTERNET MAGICAL GIRL」とつながっている曲なんです。意味がちゃんとあるので、歌詞をしっかり聴いてもらって、クリスマスにそれぞれ実感してもらえたらうれしいです。