2024年12月11日 15時00分
特集
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XG「IYKYK」キービジュアル
「WINTER WITHOUT YOU」は、彼女たちの成長を象徴する楽曲です。冬の感情を切なく表現したボーカルと、「君がいない冬」という別離を描いた繊細なリリックは、XG=ラップという先入観を打ち砕き、R&Bシンガー集団としての魅力を見事に表現。
エッジーなサウンドやパフォーマンスだけでなく、XGが正統派のパフォーマーとしても破格の表現力を持つことを証明した、エモーショナルな記念碑といえるでしょう。
「WINTER WITHOUT YOU」ジャケット
「WOKE UP」や「SOMETHING AIN'T RIGHT」は、XGの強い世界観を確立した楽曲です。前者は全編オールラップソング、後者はイギリスのクラブミュージックUKガラージを取り入れたダンスミュージックという異なるジャンルを持つ2曲ですが、どちらも確実にXGであることがわかる強烈な個性を発揮。「WOKE UP」は各メンバーの研ぎ澄まされたラップスキルと独特のフロウを全面にプッシュ。衣装も獣を思わせる帽子やグローブをまとい、現在までに続く野生的でアグレッシブなイメージを確立しました。「SOMETHING AIN'T RIGHT」はタイトルの意味である「何かがおかしい」に代表されるように、XGの「未知なる存在」というコンセプトが強調され、後ろを向く振り付けやあえてチグハグにしたファッションで「違和感」を表現しています。
特定の音楽ジャンルに固執せず、あらゆるスタイルを横断しながらも、「強さ」や「独自性」を感じさせるエネルギッシュで力強いメッセージとパフォーマンスこそブレない「XGらしさ」だと証明してみせた、彼女たちの新機軸です。
「WOKE UP」ジャケット
「SOMETHING AIN'T RIGHT」ジャケット
そんな2曲の延長線上にある楽曲が「IYKYK」です。
「If You Know, You Know(わかる人にはわかる)」というフレーズが示すとおり、XGは自らの個性を曲げることなく表現することを宣言。それは同時に、ファンへの信頼を歌ったメッセージのようにも感じられます。
同時にこの曲は、2001年にリリースされたm-flo「prism」をサンプリングした楽曲としても話題を呼びました。この試みは、XGが掲げる「X-POP」に通ずる音楽を20年以上前から奏でてきたグループへのリスペクトの表れといえます。
XGが具体的にどんな未来を描いているのかは公式には明言されていませんが、音楽やビジュアル、掲げるコンセプトからは、「この世界には人類がまだ到達していない境地、見えていない側面があり、それを見たい」という思いが感じられます。そうしたマインドが、m-floがサンプリングや「loves」(フューチャリング)で示した、当時のJ-POPの常識を打ち破る姿勢とリンクするのです。脈絡がないように思えるXGの世界観が、実は脈々と受け継がれる音楽文化の上に存在していることを表明した、まさしくX-POPらしいサンプリングアプローチです。
「IYKYK」ジャケット
これからのXGに期待したいのは、さらなる世界展開です。
というのも、現在XGは2024年から2025年にかけて初のワールドツアー「The first HOWL」を開催中。このツアーは各地で高い評価を受けており、5月の日本公演では、大阪城ホールとKアリーナ横浜で計約5万5000人を動員しました。その後、7月には韓国・ソウル公演を皮切りに、台北、シンガポール、マニラ、バンコク、クアラルンプールなどアジア各地で公演を敢行。10月には北米ツアーを実施し、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークなど全8都市で約5万人を魅了しました。
ソウル公演ではJULIAがパク・ヒョシンの「Breath」を、CHISAがユン・ミレの「As Time Goes by」を披露するなど、地域ごとに異なるセットリストで観客を楽しませる工夫が話題になりました。
このツアー、そして「SOMETHING AIN'T RIGHT」と「IYKYK」が収録された2ndミニアルバム「AWE」を経て、XGはどんな進化を見せていくのか。
前人未到のステージに向かうそのドキドキ感は、XGを推す大きな醍醐味ではないでしょうか。
取材・文:照沼健太
写真提供:エイベックス
2024年11月8日(金)発売
01.HOWL
02.HOWLING
03.SPACE MEETING Skit
04.IYKYK
05.SOMETHING AIN'T RIGHT
06.IN THE RAIN
07.WOKE UP (REMIXX)
08.IS THIS LOVE
JURIN、CHISA、HINATA、HARVEY、JURIA、MAYA、COCONAからなる7人組HIPHOP / R&Bガールズグループ。2022年3月に1st シングル「Tippy Toes」でデビュー。アメリカ、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、アラブ首長国連邦を始めとした多くの大型音楽フェスに出演するなど、グローバルな活動を展開。全米ビルボードチャート「Hot Trending Songs Powered by Twitter」では日本人アーティストとして史上初の1位を獲得。米「Billboard」誌で日本人ガールズグループとしては史上初となる表紙を飾るなど、グローバルで数々の快挙を成し遂げている。2024年11月に2ndミニアルバム「AWE」をリリースした。
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